prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「海にかかる霧」

2018年02月07日 | 映画
採算がとれないままボロ漁船で操業している漁師たちが中国にいる朝鮮族を韓国に労働力として不法入国させて小金を稼ごうとしたら、運んでいる途中でえらいことになる。実話がもとだというが、大変だがいかにもありそうな話。

初めの方の漁船上の荒っぽく男臭い生活の生臭いくらいのリアリズムのじっくりしたタッチと陸の上の家族と商売の両方にまたがるろくでもない生活描写を経て、中盤からの一気呵成に地獄行きになる加速度を持ったようなドライヴ感は相当なもの。

船内の鉄の壁の殺伐とした感じや、海の波、特に嵐の表現など画面の厚みもしっかりしている。

若い船員が朝鮮族の若い女と接近していくプロセスも自然で、もとは舞台劇だというが作劇がしっかりしていて、ラストの切れ味と余韻の持たせ方もいい。

中国にいる朝鮮族に対する韓国人の差別意識というのはわかりやすいものではないが、日本で働く日系ブラジル人の対する日本人のそれに近いか。
(☆☆☆★★)

海にかかる霧 - 映画.com



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