prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ヘアスプレー」

2007年11月20日 | 映画
最近珍しい、明るくて元気が出るミュージカル。
もともとチープでキッチェな映画をミュージカル舞台化したものをさらに先祖返り的に映画化したものとしては、「リトルシッョプ・オブ・ホラーズ」の系統。カウンター・カルチャー前というか、アメリカがいかにもアメリカらしかった時期とノー天気寄りのミュージカルは相性がいいのかも。ただし、ちょっと毒が混ざるのが今風。

オリジナルの監督・脚本のジョン・ウォータースが冒頭、コートの前を開けて見せるヘンタイ役で出てくるのが実にそれらしい。犬のウンコ食べる映画「ピンク・フラミンゴ」の監督だものねえ。
あの映画の主演のディヴァインはものすごく太った女の格好をした男優だったが、同じ趣味が今回もヒロインとその母親のまるまるとした体形と、母親を男優が演じる(舞台からの「伝統」らしい)という形で再現されている。もともとはみ出た連中に対するシンパシーから出発しながら陰にこもらないウォータースの持ち味は転写を重ねても生きているみたい。

黒人差別がベースになっている話だが、1962年のボルチモアだと黒人たちもストレート・ヘアで、人種意識に目覚めた印であるところのアフロヘアにはまだなっていない。ヘアスプレーをやたらびゅうびゅうぶっかけるのはストレート・ヘアでないとあまり意味ないので、まだ夜明け前、といったところか。
(☆☆☆★★★)




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