prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「愛に乱暴」

2024年09月09日 | 映画
江口のりこの夫役の小泉孝太郎がパブリックイメージとは全然違っていて、誰かと思った。
歳は小泉が1978年生まれ、江口が80年生まれで少し小泉の方が年上なのだが、江口の思春期の息子みたいに見えた。
なんだか江口をうるさそうにあしらったり、愛人をいきなり連れてきて別れてくれなんて虫のいい幼児的なこと言うしね。

ゴミ集積場から不審火が出たり、本来分別しなくてはいけない缶(それもチューハイの缶)が混じっていたり、カラスが集まっていたりといった不穏な空気の醸成が優れている。ただスマートフォンで見る日記みたいな匿名の文書の意味はよくわからなかった。

江口の昔の勤め先の上司の凄いいい加減な応対と、内心を押し殺した江口のリアクションがますます不穏さを煽る。
石鹸作りの講師というのがきれいごとの暮らしというイメージにぴったりで、しかし実質は非正規雇用であっさり予告も何もなしに働き場を失ってしまう。
キレて狂暴に暴れるのが定番なのが妙にずらして収まるのがまた不穏。