prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「きみの色」

2024年09月07日 | 映画
考えてみると主役三人は同じクラスというわけでもないし、進学コースも違い、性別も違い、恋人同士というわけでもない。生活空間が近いには違いないけれど、むしろ近しいがそれほど親しいわけではないデリケートな関係を大事にしているのだろう。

クライマックスというにはふわっとしたクライマックスでトツ子がキーボードを一本指で弾いているのが目を引く。きみみたいに本格的にギターが弾けて歌えるのともルイみたいにプログラミングで音を出せるのとも違うが全体とすると厚みのある音を出している。演奏の巧拙ではないのだね。
ルイがテルミンを演奏しているのが目を引く。あまり使う楽器ではないと思う。

人が色として見えるという設定をお話を転がすアイデアとしてではなく、画面そのものとして描いている。
輪郭を黒でなく色がついた線にするのはかなり前からやっているが(「火垂るの墓」で試みられたと記憶する)、設定と結びついたことで新しいフェーズになったと思う。

音楽を聴くのがラジカセだったりスマートフォンの中でルイだけガラケーだったりと、ちょっと昔の設定なのだろう。