冒頭、「めまい」の音楽がかかるのにあれと思った。この映画がフェミニズムの立場から観客全般が無意識のうちに男視線だったり男の権力的立場に立っていることを指摘しているらしいことは知っていたわけだが、「めまい」といったらこれ以上ないくらいの男視線映画なのです。
さらに解説で生登壇した字幕監修の斎藤綾子氏も「めまい」には驚いたと(マイクを通した声はかなり聞き取りにくかったが)いうのに暗合というのはあるものだと思った。
「(「めまい」)が世の女性たちに好かれないのもまた間違いないのである」小林信彦
最悪の映画として紹介されるのが「マンディンゴ」で、最悪とは文字通り受け取っていいのかある程度反語的に捉えていいのかよくわからないなだが、男の黒人奴隷(ケン・ノートン)と白人の金持ち女(スーザン・ジョージ)が立場を交換して描かれる。
アメリカのマスコミに猛烈に叩かれたのは奴隷制度の醜悪さをずばり突かれたせいが大きいと思うが、スーザン・ジョージがこの前の出演作「わらの犬」でレイプされる役をやっていたのが逆転して主導権をとっているのも反発をかったのかなと思う。
映画の中の男女の役割の非対称性をカメラワーク、照明にまで遡って証だてていく。
映画というのは、半分しか作られていないし、半分しか見られてもいないと思える。
俳優のロザンナ・アークエット、映画監督のキャサリン・ハードウィックらが出演するが、肩書が活動家activistsとあるのが彼我の差を知らせる。