prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ツレがうつになりまして。」

2011年10月30日 | 映画
舞台を古びた平屋の一戸建てにして、実家をやはり古びた床屋に設定したのが成功、れっきとした今現在2011年の話で携帯もパソコンも使っているにも関わらず、時間の流れがゆっくりした感じになった。
ハルさんがつげ義春を読んでいるところも、隠遁趣味とまでいかなくても現代のやたらせかされているような勢いからちょっと外れるのと見合っている。

堺雅人のツレ、宮崎あおいのハルさんともにつらい状況でも割とふわっとしていて、うつでもあまりギスギスしないのはいい。
ところどころマンガの日記が入るのも雰囲気を和らげるのに効果的。

やや疑問に思ったのは自殺未遂のくだりで、原作だとちょっとしたことで喧嘩してしまい、夫が風呂場で首を吊りかけているのを知らないで妻はDVだDVだとメールを打っていて、後になって日記で知ってすごいショックを受けるのだが、実際に未遂の場に立ち会ったら、そのあとそうのんきにはしていられないだろう。

うつの人が病院仲間、出版社の編集者、実家に来る青年と他に三人もいて、いくらうつが増えている、あるいは公表するのに抵抗が減っているといってもちょっと多いが、うつのさまざまな面を見せるのには役立つ。

クライマックスが結婚式場の同窓会と原作本の出版後の講演と、二つに分かれているのはちょっと屋上屋を重ねた感じで、同窓会だと夫婦愛とか家族愛といった普遍的な話につながるが、うつの体験を本にするとなるとかなり特殊なケースなので幅が狭まったような気がする。
原作本が出たところでぱっと切ってよかったのではないか。
(☆☆☆★★)

人気ブログランキングへ


本ホームページ


ツレがうつになりまして。 - goo 映画

ツレがうつになりまして。 スタンダード・エディション [DVD]
主演 宮崎あおい 堺雅人
キングレコード


ツレがうつになりまして。
幻冬舎