prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「アンストッパブル」

2011年10月08日 | 映画
黒澤明がアメリカで撮る予定だった「暴走機関車」も実話ネタだったけれど、これまた実話からインスパイアされたという。こういう暴走事故、アメリカではちょいちょい起こっているのではないだろうな。

四重連の「暴走…」に対して、30連以上、800メートルを越すという途方もない多重連結で、あまりに長すぎてフレームに収まりきれず、通過するのにやたら時間がかかるという表現の仕方を選んでいるところがある。
このバカ長さがカーブを曲がりきれるかどうかというクライマックスに生きた。
重量感の出し方が撮影、音響効果ともに卓抜。

初めから機関車に乗り合わせてしまう囚人たちを主役にしたのに対して、乗り込まなくてもいいのに乗り込みに行く分単純なヒーローになっている。
デンゼル・ワシントンの役名のフランクというのは黒澤版「暴走…」の操車係dispacherフランク・バーストゥ(ヘンリー・フォンダが予定されていた)からとったものか。

やたら大勢が線路沿いに集まって、避難しているというよりお祭り騒ぎしているみたいに見えたりする。ラストもかなりノー天気。
とはいえ、トニー・スコット監督としては「ドミノ」あたりのやたらフラッシュ式にちかちかする編集をしたりしないで、ストレートなカットつなぎで処理しているのでかなり見やすい。

撮影はベン・セレシン。アラン・パーカー(「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」以来もう8年劇場用映画は撮ってない、67歳だから引退するには微妙な年だが)とよく組むマイケル・セレシンとはhalf brotherだという。父が同じなのか、母が同じなのかわからず。
(☆☆☆★★)

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