prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「俺たちフィギュアスケーター」

2008年01月09日 | 映画
暮れに行ったら混んでいたので出直したけれど、年が明けてもやはり混んでいた。
なんでも劇場公開される予定は当初なくてビデオリリースだけのはずが(経緯はこちら)、評判を呼んで劇場公開、結果初日記録を作る劇場も出たという。そのせいか、プログラムも作られていなかった。
とはいえ慶賀の至り。

オープニング、いきなり「タイム・トゥ・セイ・グッドバイ」が格調高く流れて尼さん混じりのスケート風景から始まるが、本編に入ると一転もうお下品ネタの連発。ただし、生理的不快感を催すぎりぎり、いくら下品でもネタにされるいたぶられるのはもっぱら男のタマで、良く見るとあまり女性をサカナにはしていない。

「プリズン・ブレイク2」のマホーン捜査官ことウィリアム・フィクナーが出てきたのであれと思うと、果たせるかな思い切り冷酷かつ気まぐれな金持ち役。国際大会といいながらアメリカだけで決勝が争われ、金持ちがこの後完全にストーリーから消えてしまうのは、話を広げすぎるとあと収拾がつかなくなるのを避けたのだろう。

男同士のペアのフィギュアスケーター?、なんてふざけているようで、話に乗せるためにさまざまな手を凝らしている。
資格停止になるのはシングルだけで、ペアはその限りではない、なんてルールの間隙を縫う(しかしホントにそんなことできるのか)ところに目をつけたところ、そんな細かいところに気がまわる奴にストーカーを設定したこと(弁護士だって気がつかない、というのがまたアメリカの弁護士事情を考えると可笑しい)、というのはなんでもないようで相当に知恵を絞っただろう。

スケート・シーンも、どの程度特訓したのか、どの程度吹き替えやCG合成したのか、画面見ていても全然わからず、終始本当にやっているとしか見えない。見えないところで手がかかっているのだろう。

スポーツマンあるいはスポーツ界の欺瞞的な体質を徹底的におちょくっているのが痛快。自分の両親の事故死を妹のせいにしてこき使う双子ペアなんて、考えてみるとずいぶんえげつないが、それぐらいエゴイスティックな奴いるのではないか。
(☆☆☆★★)