prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「巴里の恋愛協奏曲」

2005年01月16日 | 映画
オープニング、俳優の名前が文字ではなく朗読で紹介される。エンドタイトル、監督のアラン・レネのタイトルがミザンセーヌmisen un seneだとか表記された。フランス語はまるでわからないが、場面設計とかいう意味だったろうか。監督は普通Realisateurと表記されるはず。ともにこれのオペレッタが舞台そのまんまに、足しも引きもせず作りましたという姿勢の現れだろう。

精錬の粋という感じのすばらしい美術・衣装。“お芝居”の粋以外の何者でもない三幕劇構成とアンサンブル演技。それら舞台そのまんまの要素に、“映画的”とされる余計なものを入れず、それでいて映画になっている不思議な演出の技。

ヌーヴォー・ロマンと映画を“化学反応”(劇中の台詞)させてきたレネが、「メロ」以来「恋するシャンソン」そしてこれと、いかにも一夜の娯しみ風の古典的大衆芝居を映画化するようになったのか。作家の作風の変化というのは、不思議なものだが、文体即内容のスタイルは一貫している。
(☆☆☆★★)


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