prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ガートルード」

2004年12月13日 | 映画
カール・テオドア・ドライヤー監督の遺作。
正面きった長回しでほとんど不動のまま台詞を喋る役者をえんえんと写し続ける演出。芝居の缶詰めのようで、不思議と飽きない。もっとも、以前字幕なしで見た時はまったく理解不能だったが。
ストーリーだけ見たら、愛した男が全部仕事や別の女に興味がいってしまって報われることはないがそれでも「愛がすべて」と墓碑銘に刻ませる女という、ごく単純な話。が、作品とすると異様なくらい厳密な格調と、それと裏腹の肉感をもっているのだから不思議。
フラッシュバックや公園のシーンの白いハレーションが、「裁かるるジャンヌ」の白い壁などにも通じるいかにもドライヤーの感覚。


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「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」

2004年12月13日 | 映画
ディズニーらしくストーリー(担当が4人)がよく練れている。海賊がぞろぞろ出てくる割にワルモノをやっつけて万歳という作りになっていないのがいい。やっつけられる方が救いになっているものね。
普通だったら達者なバイプレイヤーがやるような役をぬけぬけとやってしまうジョニー・デップの役の選択と演じ方のセンス。
軍隊と海賊にそれぞれ二人組のコメディ・リリーフがいるあたりの芸の細かさ。
細かい所でさりげなく省略法を使った編集。
ゾンビというのか、骸骨が何十人も人間と入り乱れてチャンバラするシーンなど、こういうのを見た人が「アルゴ探検隊の大冒険」あたりの“素朴”なSFXを見たらどう写るのだろうと思ったりした。


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