prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「着信アリ」

2004年01月26日 | 映画
後になって考えてみると、心霊写真的な幽霊の見せ方、都市伝説の要素、ビデオや携帯などの最新機器が中身がブラックボックスになっていることから来る薄気味悪さ、日本的な血縁関係から来るおどろおどろしさ、さらにどんでん返し的趣向まで入れているところなど、いちいち比べると「リング」とずいぶん良く似ているのだが、あまり気にさせない。

「リング」のいわば源流であるビデオ版「ほんとにあった怖い話」以来の、いわゆる小中(千昭)理論からすると、実際の人間が演じている幽霊からいかに実在感を剥ぎ取って見せるか、実在していないはずなのに写っているという感じを出すために、実際の心霊写真から色々な技法を取り込んでいる(顔の歪め方、像のぼやかしかた、などなど)わけで、その中に「幽霊の見た目」というのはありえない、というのがあるのだが、それをここではもろに、というよりあからさまに強調してやっている。
(☆☆☆)


本ホームページ
幽霊の正体見たり枯れ尾花というが、画面自体が怖いと思っている人の主観に即して細部を組み立てて人間を幽霊に見せてしまう、という方法からすると、幽霊の方が見る主観に立ってはおかしいということになる。ヒロインが去った後の空間に幽霊がいるのを改めて見せるというのも、ピン送りで背後の幽霊に焦点が合うというのも、それぞれ変。

ここでの幽霊はかなりはっきり肉体を持っている感じで、西洋のポルターガイストもあまりやらないような力技を見せたりする(デジタル他の技術の進歩の貢献、大)。男優陣が妙に劇画的な芝居をしているのとともに、監督の体質か、と思ったりする。ある程度確立された方法を繰り返しながら、他と違おうとするのではなく、少し違ったものが出てしまい、破綻には至らずむしろパワーの要素が加わった観。(後註・三池崇史監督はホラーは
「悪魔のいけにえ」しか見たことないと言っているそう。ホントかね)
ただ、ラストの思わせぶりの意味は何? 幼児虐待も、見たいものではない。

岸谷五郎が登場する時、両手をお岩さま風にだらりと前にたらしているのが可笑しい。
出てくる携帯の種類は、NTTドコモ、vodafone、auと一通り揃っているよう。