prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」

2003年09月20日 | 映画
註・これはストーリーを一切知らないで見る必要のある映画です。
死刑廃止論者というと、リベラルで人権派で、キレイゴトばかりというイメージだが、ここではその“運動”としての政治性や一種の退廃に踏み込んでいる。
「ミシシッピー・バーニング」の監督でもあるし、死刑肯定(というより推進)論者のゴリゴリの保守ぶりを描いているのかと思うと、フォード型トラックに乗ってテンガロンハットをかぶっている典型的プア・ホワイトのような“カウボーイ”の正体が明かされるにつれ、その憎悪、というか歪んだ感情が思わぬところに逆転してしまう展開の巧みさ(脚本 チャールズ・ランドルフ)。

本当のテーマは死刑の是非というよりキリスト教的な“犠牲(サクリファイス)”の方ではないか、とラストで思わせる。なぜケビン・スペイシーを使ったか、という意図も含めて。

顔にビニール袋をかぶって死んでいる人間の像は何かフランシス・ベーコンの絵のよう。
(☆☆☆★★★)


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