先日、大学の同期会があった。
私は外国語学部中国語学科出身なのだが、
一学年60名というこじんまりとした学科で
2クラスに分かれて2年まではクラス単位の授業があった。
私が卒業した年は中国の改革開放政策が始まった頃で
商社、大手メーカー、マスコミ、研究職など
中国関係の就職がかなり良かった。
皆それぞれ定年を迎え、
再就職先を見つける人、新たに事業を始める人もいるが、
中国語圏の海外駐在が長かった人が多いので
引退してからも中国語を使って何か社会の役に立ちたいという人も数名いた。
集まれば現在の日中関係の話になるし、
オフレコな話題も聞くことができる。
皆何だかんだ言ってもずっと中国に関わっている。
大学で学んだことがそのままライフワークに繋がっているのは
文化系の学科としては珍しいことのようにも思える。
私自身、日中貿易の仕事は断念してしまったが
やはりずっと中国に関わっていきたいというのが
中国茶の世界に踏み込んだ理由でもある。
いつまで続けられるか分らないけれど、
生徒の皆さんと一緒に中国茶や台湾茶をいただくのは
本当に楽しいし美味しい。
歌舞伎役者の中村七之助が巡業の質問コーナーで
子供さんから歌舞伎役者やっていていいことは何ですかと聞かれ、
「どんなに辛い事や苦しい事があっても舞台に立ってお客様から拍手をいただいたら全て忘れられる。
役者は一度やったら辞められないって本当にそう思います」
と答えたそうだ。
七さまと同列に語るのはおこがましいが、
私も辛くて泣きたい事があったときに
教室や茶会でお茶を淹れ、美味しいと言ってもらえると
一切が吹き飛んでしまう。
今までどれだけこの仕事に助けられただろうと思う。
私は何かを成し遂げたり社会に貢献したわけではないので
偉そうなことは何も言えないのだけれど
ライフワークと思えるものを見つけることができたのは
大学そして留学に行かせてくれた両親のお陰であるし、
好きなことを十分にさせてくれる家人のお陰であるし、
中国茶の楽しみ方を教えてくださった師のお陰である。
そして、教室に通ってくださっている皆さんのお陰でもある。
感謝の気持ちを込めて。