秋の味覚・・さんまといえば、さんま苦いかしょっぱいか・・の佐藤春夫
の詩をおもいだします。そのさんまが今年は不漁と言い、1尾の値段が
焼き用で80円、お造り用では180円から下がりません。東日本大震災
の影響もあるようで、ことしはこの値段がつづくのでしょう。
さんまを「秋刀魚」とかくのは大正時代に入ってから・・と言います。それ
以前は、細長い魚を意味する「狭真魚=さまな」があり、それが訛って
「さんま」になった・・とする説があります。
さんまを「三馬」と書いたのは、夏目漱石で「我輩は猫である」のなかに、
「・・御三の三馬を盗んで・・」と書いています。漱石は「当て字の名人」と
いわれ、「猫」以外の作品にも頻繁に出てきます。その中で面白い・・と
思われる当て字の一部を紹介します。
間投詞を「感投詞」、勘違いを「癇違い」、やかましいは「八釜敷い」です。
知ったかぶりする・・「知高振りする・・」で、これなどはかなり思い切った
当て字です。また、「蚊」を使うの好きで、何でもかでもを「何でも蚊でも」、
か弱いを「蚊弱い」、何とかかとかは「何とか蚊とか」といった具合です。
関西では、さんまのことを「サイラ」と呼んでいましたが、今は死語になり
りました。レシピは「さんまのかば焼き風」です。さんま料理のなかでも
「塩焼き」に次いでおいしい・・とわたしは思います。冷めても魚臭さがなく
弁当のおかずにもできます。この秋、一度お試しください。
さんまを開いてフライパンで焼き、あまい醤油味で仕上げるかば焼きです。さんまの一番おいしい
食べ方が塩焼き・・・とすると、二番目においしい食べかたとおもいます。グリルをつかわないので、
家のなかのにおいもすぐに消えます。つくりおきしてあたためなおしてもおいしい、かばやき風です。
材 料 さんま 2尾 180g 頭・骨など除いた正味
ゴマ油 大さじ 2 20g
日本酒 大さじ 2 20cc
みりん 大さじ 1 10cc
しょうゆ 大さじ 2 10cc
さとう 大さじ 2 20cc
作り方 さんまの下こしらえ
さんまの頭と尾を切りとって腹を開け、腸をかきだす。
水洗いして、腹のほうから2枚に開き、中骨をとる。
強火で焼くので、腹骨はとらずに焼いても、気になりません。
歯が丈夫なら、中骨もこんがり焼くとおいしく食べられます。
さんまの水気を、紙でふきとり、両面に味の素を振る。
・・・そのまましばらくおきます・・・
さんまを焼く・・・焦げ目をつけるのがポイント
フライパンに、ゴマ油を大さじ2杯くわえ、強火にかける。
さんまの両面に、小麦粉を(茶漉しにいれて)うすく振り、
フライパンに入れ、強火で2~3分焼く。
・・小麦粉を振るのは、焦げ目をつけるためです。
たれの味は焦げ目にしみこむからおいしい・・・照り焼きも同じ
さんまの外側はたれの味がしみこんでいても、中身は
さかなの味・・・ここは、焦げ目をつけるのがポイントです。
焦げつせかないで、味をつけると、中身までしみこんでしまう。
こなったら、かば焼きになりません。
両面が、こんがり焼けたらあじつけする
途中で、火力を中火におとし、さんまにみりんを振る。
つぎに、日本酒をなべふちからそそく。
・・・フライパンは焼けているので、すぐに蒸発する・・・
さとうを、さんまに振って両面を焼く。
さとうが、カラメル状になる・ので、すぐに醤油をそそぐ。
しょうゆ味がからまったら、できあがりです。