ここ数日、記録的な寒さです。TVの天気予報で「寒いから
気をつけてください」と言っておりましたが、この夏の猛暑の
ときにも「暑いから・・・」と同じようなことを言っていました。
レシピは、寒い日のおかずに体が温まる「たぬき汁」です。
愛読の「鬼平犯科帳」にたぬき汁のことが書いてありました。
長編「鬼火・丹波守下屋敷」のなかの、本所弥勒寺・門前の
茶店「笹や」のお熊婆さんと平蔵のやりとり、次のくだりです。
「蒟蒻の千切ったのを叩っこんだ、舌の千切れるように熱い・・」
と、(お熊婆が)いいかけるのへ、
「ふうん、狸汁か・・・」
平蔵が、なつかし気な眼の色になった。
池波作品には、食べ物のことが随所に出るので、読んでいて
じつに面白い、中には知らない料理がでて、大いに好奇心が
わき、またそれを調べるので勉強になるのであります。
故辻嘉一さん著「懐石」に、「たぬき汁」のことが書いてあって、
「中身も汁も舌がやけどするくらいの熱さでなければいけない」
とあり、お熊婆さんのせりふと符合します。
葛を溶かしいれるので、余計に温まるのでしょう。食べるときは
あらかじめ、お湯であたためておいた大きめの丼に、熱々の
こんにゃくと汁を、たっぷりともりつけます。寒い日にどうぞ・・。
たぬき汁・・といえば「カチカチ山」を思い浮かべますが、これは精進の味噌汁です。もともとは肉食を
禁じられた僧侶がたぬきのかわりにこんにゃくを使ったのがはじまりと言います。ちぎりこんにゃくを
ごま油で焦げるまで炒めて味噌汁にすると、たぬきに似たあじになるそうでこんな名前になりました。
材料
こんにゃく 1/3丁 150g 親指の先の大きさに千切る
ごぼう 1/2本 40g たわしで洗いささがきにする
だいこん 5センチ 100g いちょう切りか」短冊に切る
青ねぎ 2本 小口切りかざく切りにする
ごま油 大さじ 2 20cc
煮干いりこ 10尾 15g 頭と腹をとる
こんぶ 10センチ 10g
赤味噌 大さじ 2 30g
片栗粉 小さじ 1 水溶きして汁にいれる
作り方
出汁はこんぶといりこでを水に漬けて、一晩おく。
・・・水だしといって、おいしい出汁がとれます・・・
出汁を火にかけ、味噌を溶きいれて味噌汁をつくる。
こんにゃくを熱湯でゆがいてザルに上げ水気をとる。
なべにごま油を入れて熱し、こんにゃくを強火で炒める。
・・・ここで時間かけて炒りつけます・・・
だいぶ水分が飛んだら、味噌汁を流しいれ、ごぼうと
にんじんを入れて、4~5分煮る。
煮揚がったら、水溶きかたくりを注ぎいれてかきまぜ、
うすいとろみをつけてできあがり。
ねぎのぶつ切りを散らし、好みで粉山椒か七味をそえる。
その他
こんにゃくのしたこしらえ
こんにゃくはスプーンで掻きとってもよい。
熱湯で茹でる前に、塩もみをする。
レシピ以外の具材
だいこん、しいたけ、かぶ、里芋など、好みの
具材を入れるが、あくまでもこんにゃくが主体です。
シンプルに、こんにゃくだけのたぬき汁にしてもよろしい。
油揚げは、きつねとたぬき・・・相性が悪いので入れません。