北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

市民フォーラム~市役所はどこまで変わったの?

2006-11-09 23:48:52 | まちづくり
 しとしと雨が降る鬱陶しい天気ですが、気温だけは下がらず、気持ちが悪いほどです。
 そろそろどかっとくるかなあ。

【市民フォーラム~市役所はどこまで変わったの?】
 今夜は職場の近くで札幌市民フォーラム「市役所はどこまで変わったの?」が開かれるというので参加してきました。考えてみると掛川を離れてからこうした市民フォーラムに参加することもありませんでした。

 自分の住むまちの動きを生で見てみようと思ったのです。

 時間は18時半~21時までと少し遅めですが、学生さんからサラリーマンから若い女性まで約300人くらいの人が参加したでしょうか。

 構成は二部構成で、第一部は上田市長さんからの基調報告、第二部は北大の宮脇先生をコーディネーターに迎えて、市の行政評価委員となった二人の市民の方と市長の四人でのパネルディスカッションというものでした。

 最初の基調報告では、これまでの3年5ヶ月の在任中に行った様々な改革について思いを述べる報告がなされました。

 まず最初に行ったのは職員の接遇研修で、来庁者に対する言葉遣いから変えていったそう。そのほかには市民との情報共有を図ったり、職員のコミュニケーション能力の向上にも努めたのだそうです。市役所職員も1万5千人近くもいると、いろいろな人がいることでしょう。

 財政改革にも努め、二年間で約270億円の歳出削減を行ったということでしたが、数年後には300億円規模の歳入不足が予想されていることから、まだまだ改革を進めなくてはならないとのこと。

 行政評価委員会のお二人からは、「事務局の文書をチェックするようなものではなく、職員ヒアリングからはじめて、感じたままの提言書を出せた」とのこと。ホームページでも内容は公開されているそうですから一度見てみることにしましょう。

    *   *   *   * 

 第一部と第二部の間の休憩時間に、会場から質問や意見を募集していたので、質問を一つ書き込んで係の方に渡しました。パネルディスカッションの最中にコーディネータの宮脇先生が多くの紙の中からいくつかを選んで紹介するのだそうです。

 「質問の機会があったら質の高い質問をせよ!」とはいつも私が言っていることですが文字通りの実践。私の質問もなんとか採用されて読み上げられました。質問をする力も大事です。

 私の質問は財政改革に関連して、「財政の支出を削減することが大事だと思いますが、市営交通やゴミ収集などの現業部門に対して民間委託を拡大することをどうお考えですか?」というもの。

 宮脇先生から質問を振られた市長さんは「ゴミは減量すべく努力をしています。(現業部門は)全部公営と全部民営の間のどの程度がよいのかを考える必要があると思います。不当に経費が高いかどうか、と言われると、私はいまの状態で不合理ではないと考えています」と回答。なるほど、そうお考えですか。

「市営交通の赤字問題ですが、これはインフラにお金をかけすぎたのと、計画通りに乗客が伸びていないのが原因です。計画では80万人が乗るという計算なのですが、現在これが56万人しか乗っていただけていないので赤字になっているのです」という回答でした。

 こちらもなーるほど、上手に交わしたと言うべきでしょうか。本当に訊きたかったのは、市営交通の支出に占める人件費の割合が高いために赤字体質であることが問題なのではありませんか、という点なのでした。

 私としては、インフラは社会資本なのでそこに補助金をもらいながら建設費をかけると言うことはある程度認めても良いと考えるものです。しかしその運営が単年度でいつまでも赤字を出してそこへ一般会計から補填をし続けるということはまさに改革の対象ではないのだろうか、ということです。
 そこへの言及がなかったのはちょっと残念です。

 今日の講演や発表の中では実行されたことについての説明が多かったのですが、そのことはそれとして、本当の問題は、実は手がつけられていない、あるいは手がつけられない問題がどこにあるのか、ということなのです。
 そして説明のなかったそれらのことには案外気づかないものだなあ、と思うのです。

 上手くいった事を説明される分にはあまり批判も出ないでしょう。ホームページという情報公開手段も、なされたことしか書かれていないわけで、触れられていない事が何かと言うことを見抜く目も必要なのですね。

 実は、こういうことは交渉術の上では良くあることで、自分が得意なこちらの土俵に乗ってくれた人と意見交換をするのであれば、こちらの準備も出来ているのでそうそう負けることはないのです。

 問題はこちらの土俵に乗ってくれずに、「こちらに来い」とばかりに自分のリングに誘いをかける相手で、これは手強いことになるわけです。どちらの得意なフィールドで戦うかという時点で既に戦いが始まっていると言えるでしょう。 


 「市役所はどこまで変わったの?」という問の裏側には「やっぱり変わっていないことは何?」という問がありえます。物事の全体を俯瞰する視野と、特定の問題には専門的に突っ込むことのできる専門性のバランスが大事です。

 それもまた眼力というべきなのでしょう。

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