職場のオフィスで使っているOA機器ですが、リース元の会社の営業マンの方が替わってから、営業力が落ちていると感じています。
そこで女性職員に、別な会社からも同様のOA機器に関するサービス内容をヒアリングするように頼んだところ、別な会社から話を聞いてくれました。
すると、どうやら後から話を聞いた会社の機器の方が、より安価で性能もよさそうで、しかも営業の担当者もより真面目で誠実そうに感じたのだそう。
「でも専務、その一台だけの機械を後の会社に替えることで、前の会社とぎくしゃくするんじゃないか、とか、マイナスの面も考えてしまって、どうしたものか悩んでしまいます」と、担当の職員は悩んでいます。
「なるほど。でもその話だけで、僕が『前のままが良い』とか『替えてみたら』とは言い難いですね。まずはそれぞれの会社が示している価格とか性能とか、さらには営業力などの評価比較表を作って、皆で判断するのが良いでしょう。
でもその資料を作るときには、自分として『どちらが、組織のためになるか』ということをよく考えて、『これが良い』というものを作るんです。
そういう意味では、(こうありたい・こうあるべき)という原案を作る担当者が『一番エライ』と僕は思うんですよ」
何かを決めるときは、「どうしましょうか」という質問はありえません。
必ず担当者が「これが良いと思う」という答えの原案をつくるものですが、その案は「なぜそうなのか」という疑問、質問に対して答えを考え抜いたうえでの結論であるべきです。
だから原案に対しては、様々な想定質問を考えてそれらに対する回答が作られるわけで、様々な視点からの疑問をつぶしておくのです。
それだけやっておくことで、より高いレベルでの議論にも耐えて、当初の原案通りに物事が進む。それが原案作成者にとってハッピーな結末です。
大変だけれど、進むべき道が一番見えているのも、原案を作る人というわけです。
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産業再生機構(JIC)と経済産業省との間で、報酬に関して経産省側がJIC側に示していた元々の案を白紙撤回した、というもめごとがあり、JICの田中社長ほか社外取締役が辞任した、という報道がありました。
その内実は知る由もありませんが、最初の報酬案を作成して想定質問を数多く作成し、説明をしてきた原案作成の担当者がどういう思いでいるかを考えると、切なくなります。
もちろん、全てが原案の通りに行くわけはないのですが、ほぼ最終結論が出たと思ったところでひっくり返された理由は何だったのか、知りたいものです。
こうありたい、とイメージする力って大切なのです。