先日稚内市の郊外にある喫茶のお店「あとりえ華」へ行ってきました。
このお店は画家である高橋英生さんが、13年前に建てられた二階建てのお家。元々家があってそこに移られてきたのですが、平成18年に火事になってしまい今の形に建て直されたのだそう。
高橋先生はここ稚内がご出身で、画家として東京やパリなどで活躍された後ついに地元に戻られて今はこの地域で野の花などをテーマにした絵を描かれています。
お宅の一階は奥が高橋先生のアトリエになっていて、二階には西側に開かれた窓に向かって長いカウンターがある喫茶のコーナー。二階の奥には小部屋もあってそこここに先生の絵や版画が飾られています。
室内は白壁に黒くて太い梁があり高い天井が部屋をなお一層広く感じさせます。
我々が到着した時には喫茶コーナーには八席に六人が座っていましたが、われわれが入ると席を詰めてくれる優しい常連さんたち。この日はちょうどこちらのギャラリーで「二人展」を開いていてそれに画を出されているお一人がご夫婦で来られていました。
美味しいコーヒーやハーブティーとスコーンにチョコケーキをいただきながら、奥様とそして客同士でも話の弾む素敵な時間が流れていきました。
そうこうするうちに高橋先生も二階へあがってきて、カウンターの中で椅子を出し客とのおしゃべりに加わり始めました。「知人の紹介で、早く来よう早く来ようと思っていましたが、ようやく来られました」と言って知人の名前を出すと、「ああ、彼ですか。今は遠くへ移られましたが今でもときどき来てくれていますよ」と嬉しそうです。
高橋先生は今度幌延町で教育に関する講演をすることになっているそうで、「何を話そうかと思うんだけど、今までの美術や芸術に関して思うことが沢山あるのでそれで行こうかと思っているんです」とおっしゃいます。
「最近の学校教育で憂うのは、美術とか音楽とか子供の時にこそ養っておくべき素養をおろそかにしていることですね。もっとやらせてあげてほしいな」
思わぬ形で高橋先生の教育論を存分に聞くことができて、とても興味深く楽しい時間でした。稚内で芸術に浸れる数少ない場所の一つです。
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「ではそろそろ失礼します」そういうと「奥の座敷の絵も見ていってくださいね」と優しい奥様が声をかけてくれました。
奥には洋風の絵柄の版画が飾られていました。
「この花瓶の版画が素敵ですねえ」
「それは主人の絵を摺り師さんが版画にしてくれたやつですね。でも今はその手のパリ風の画風の絵はもう描かなくなりました。今はこの地域の野の花ばかり描いていますよ」
そんな高橋先生の水彩画展が今週末から二週間札幌で開催中です。札幌近くの方は宗谷の野の花の絵をお楽しみください。
【高橋英生 水彩画展 -自然と生きる- 於:ギャラリー創】
http://artalert-sapporo.com/events/detail/519
【おまけ】
グーグルマップ上で検索すると、あとりえ華は国道40号から東に向かってすぐのところにあるように地図上に示されますが、本当は地図の場所よりもう少し西側の小高い丘の上にあります。
グーグルマップ上の位置の違いを正すにはどうしたらよいのでしょうね。どなたか教えてくれませんか。