久々に研修を受けました。講師は超大手商社の広報室・CSR担当室長さん。
「CSR活動は企業が社会に貢献する姿を見てもらうことでポジティブなイメージづくりにつながると同時に、それは企業の業績にもつながって行く」とおっしゃいます。
その一つの例が「プレオーガニックコットン事業」。綿花の生産はともすると大量の農薬や化学肥料を使うために、土壌が痩せたり作業する国の人の健康が侵されるなど貧しい地帯でのネガティブな農業につながります。つまり低所得国の人たちへの残酷な仕打ちの上に立っているのだと。
これをポジティブな農業に変えるために、一切農薬を使わない健康的な農業によるオーガニックな綿花を生産することが理想です。しかしこれでは害虫の害や収量不足につながります。
また実際オーガニック農業をやろうにも農法を良く知らなかったり、オーガニック認証の取り方も分からないなど、これまでの農法を変えることで農家の収入が落ちる不利益が生じます。
そこでこれをオーガニック農法の指導員を派遣したり認証の仕方を指導したり、さらには収量が落ちて収入が減る分を価格にプレミアムを乗せて理解ある国や地域に販売することで補うその仲介を商社が行う、これがプレオーガニックコットンという事業です。
これで生産者の幸せと購入者の満足を結びつけることができますが、これにはしっかりした仲介者が必要です。こうした企業の儲けを追及するだけではなく、社会が良くなる社会貢献として行う姿勢もCSRの一つです。
近江商人の「三方良し」とは、「売り手良し、買い手良し、世間良し」
こうした利益をみなで分け合う姿勢こそが求められます。
ちなみにこの「三方良し」を「英語に訳そうとしてだいぶ苦労しました」と、この室長さん。
「結局、"トリプル・ウィン"と訳しました。自分と相手が共に利益を得る"ウィン・ウィン"という言い方がありますが、三方良しなら三人が利益を得るのでトリプル・ウィンというわけです」
こういう企業理念は良いですね。
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その後の質疑応答で、「たくさん社員がいる中で、コミュニケーションを図りながら、決まりを守るコンプライアンスの意識を醸成するにはどのような方法が良いですか」という質問が出ました。
この室長さんはちょっと悩みながら、「なかなか"これだ!"という決定的なものはなくて、いろいろと工夫しながらやっていくしかないように思います」とした後で、「韓国のサムスンでは"119運動"というのをやっていて、わが社でもそれを参考にして"110運動"というのを唱えています。119運動というのは、"1種類の酒で1次会だけで9時までに終わる"という三つの数字を組み合わせたものです。韓国ってちゃんぽんでお酒を大量に飲んで失敗することが多いようで、それを戒めた言い方です。我々の110運動は、"1次会で10時まで"という数字の組み合わせです。飲むことは必要だけれど羽目ははずさないようにしよう、という工夫ですね(笑)」と教えてくれました。
組織をまとめる方法は、どこも苦労が多いようですね。
久しぶりの研修でよい話を聞いて心が洗われました。