今日も知人とロシア風居酒屋ペチカで飲んでおりました。
三十人くらいしか入れない店内は予約と早くから来たお客さんで七時過ぎにはほぼ満員。
それでもまだ「入れますか~?」と観光客が引きも切らず押し寄せてきます。外国人観光客も一人でふらっと入って来たりして、いくつかのテーブルでは相席で受け入れて和気あいあいの雰囲気。
一緒に飲んでいたジモティの知人は「見ていても地元の人はほとんどいなくて皆観光客ですよ。道路標識にロシア語表記もあったりするので、こういうロシア風居酒屋って珍しいのと稚内らしさが感じられるんでしょうね」と解説してくれました。
はるばる来たのなら、地元らしさを楽しめるところで思い出を作りたいし、そう考えると『ロシアを感じさせる雰囲気』というのは案外稚内のイメージを形成しているのかもしれません。
私たちの隣に座ったのは、宮城県から来たご夫婦で二人がそれぞれバイクに乗っての道内ツーリングの途中なんだそう。
「今回は苫小牧港で降りて、一度はこだてに下りそこからは海沿いを北上して今日稚内に来たんです。明日はこの地域を観光してその後に国道40号線で名寄まで降りて行きます」
「利尻、礼文へ行ったことはあるのですか」
「いえ、北海道は数回来ていますが離島はまだ行ったことがありませんでした」
「それは残念。ぜひ次回は島へも行ってみてください」
できるだけ効率的に北海道を旅行しようと思うとどうしても離島は眼中になくなってしまうのかもしれません。「そこまでが北海道ですよ」と大いに宣伝をしておきましたが、実際に行くとするとどれくらいの時間と費用で回れるかというようなことも知らない様子。
そこまでの情報はなかなか伝わらないようです。難しいところですね。
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すると一緒に飲んでいた地元の知人が「最近はサハリンへのバイク旅行者が年々増えていると聞きました」と言い出します。
「サハリンって日本と違って、都市部を出るともうほとんど道路を舗装なんてしてなくて、砂利道やダートの道路ばっかりなんです。でもそこがワイルドで未開の地らしさを醸し出すので、オフロードバイク愛好者がツアーを組んで行くみたいですよ」
「サハリンって、郊外に行くともうガソリンスタンドなんてないような印象なんですが…」
「そう、だからツアーの運営者側でサポートとして燃料や食料を積んで後からバイク軍団を見守るというところまで用意されているんですよ
「なるほど、私も稚内に来るときには『小松さんのところを拠点にしてサハリンに釣りに行きましょう』と言われたものです。サハリンでの釣り経験者によると、日本語を話して釣り場まで案内してくれるガイドがサハリンに二人はいるそうなので、釣りも楽しむ受け皿はあるみたいです」
「そうですね。確かに秋になると川はもうサケの遡上で真っ黒になると言いますから、もはや北海道ですら失った本当の自然はサハリンに行かないと体験できないかもしれませんね」
「北海道も心底手つかずの自然はもうよほど探して歩かないとたどり着けませんからね。その点サハリンはいいかもしれませんね」
横で偶然一緒に飲んでいたサハリン通の知人は、「ロシア人って物を作ることができないんじゃないか、と思いますよ」と言い出します。
「え?どうしてですか?」
「なんといっても工学的技術の蓄積がありません。だから道路をどう作ったらいいのかも良くわかっていないんです。知っていますか?港の施設なんて大正時代に当時の日本の国が作った施設を今でも使っているんですよ。これっても新しい港湾を建設する技術のないことの裏返しに過ぎませんよ」
ロシアの自然も町並みも、そして日本統治時代の名残の建物などを見られるだけ見てこようと思います。
町なかの居酒屋でロシア談議に花が咲く当たり、これが稚内らしさと言えるのかもしれませんね。
まずは来月上旬にこの目で見てこようと思います。