昨日は札幌で都市計画学会北海道支部の勉強会に招かれて、釧路のまちづくりについてお話をしてきました。
話題の中心は、「人口減少化におけるコンパクトシティの意味」ということ。人口が減って経済がなかなか上向かない中では、かつての人口増加局面での街づくり手法はもはや通じません。
人口が増えることで土地に対するニーズが増加し、原野を市街地として整備してそこに様々な建築が広がって建設それ自体も経済を拡大させさらに土地の価値が上がることで地域の価値が上がるというのが人口増加局面での経済成長の図式。
経済が成長するから市税も増えてさらに都市整備にお金を使うことができ、市全体の価値も上がってきたのでした。
もちろん釧路市の場合は、石炭産業が力強く石炭の売り上げと地域雇用が力強かったこと、また水産業の水揚げとその周辺産業の好調が続いてきたこと、さらには釧路三大産業である紙パルプも好調が続いてきたということで、人口増加をもたらす要因もあって地域経済は好調な時期が続いてきました。
しかし、石炭産業が国の産業政策としては一定の役割を終えて規模が大幅に縮小し、また200海里問題を境に水揚げも次第に減少。これらの産業が地域経済を支える力が減りはじめ、そこへ人口減少局面を迎え始めたというのが今の釧路の現状なのです。
実に難しい局面です。

【釧路の人口推移と主な出来事】
特に、不動産に対するニーズが減ったことで建築物の所有者が金融ファンドを転々とし、ついに持ち主が行方不明になるという事態も増えています。
空き地であればまだ後に使いやすいのですが、こうした『主無き建物』が残ると民間財産の権利処理に加えて除却のために多大なお金がかかるのでその後の地域づくりが難しくなるのです。
※ ※ ※ ※ ※
従って、地域のまちづくりをしっかりと行うためには、①人口によらないしっかりとした経済を立て直す、②人口減少によって市の収入が減少しても耐えられる施設計画・施設管理計画を打ち立てる、ということが考えられます。
しかし①の経済立て直しは、狙ってできるとは限らず地道な取り組みを継続してゆくしかありません。
ただ、②の施設管理費にかかるお金を軽減する措置は市民とともに頑張ればできそうです。これがコンパクトシティや公有資産マネジメントといった取り組みが必要な理由です。
コンパクトシティは、市街地が大きく広がってそのために学校や公民館、福祉施設などの配置や数も増えてしまっているのをいくつかの核的エリアに集約させてゆこうという考え方で、買い物や行政手続きなどをできるだけ近場でできるような都市配置にしようというものです。
ところがこれがまた、自家用車などの移動手段を持っている人にとっては近くても遠くても構わないわけで、「別に近くにお店がなくたって、ドライブがてら遠くのショッピングセンターに買いにゆくからいいよ」と言う人が多いのも事実。
そしてその逆に高齢者や障碍者などの自由な移動手段を持たない人たちにとっては、近くにお店がなくなると死活問題。つまりコンパクトシティも、やってほしい人たちとどうでもよい人たちという市民が二分されることにもなるのです。
しかも人口減少化で土地の値段が上がらなければ、かつてのような再開発や区画整理などのまちづくり手法は力を発揮できません。
市民ニーズに基づいた都市改造がエンジンになるとすれば、今後は福祉政策や住宅政策、さらには魅力的な学校を作るなどの取り組みを地道に行うしかなさそうです。
※ ※ ※ ※ ※
一方、今保有している施設については修繕や建て替えなどの今後の予定を精緻に積み上げて、お金のかかるタイミングを調整しながら施設の統廃合や機能の融合を図るしかないでしょう。
それが公有資産マネジメントと呼ばれる取り組みで、これからは中期的な展望をしっかりともった施設管理計画を立てることで管理経費の削減を図らなくてはなりません。
今分かっていることを明らかにして、市民の皆さんと問題意識を共有しながら対策を地道に行うことが重要です。
地方の課題が多い都市こそ、課題先進都市であり同時に解決法先進都市になりたいものです。
【宮城県へ派遣の給水支援部隊】
3月21日に釧路を出発し、仙台で給水活動を続けてきた第一班は昨日第二班と交代し、現在船で釧路へ帰還中。交代した第二班は、第一班とは給水箇所を変えてさらに給水活動を継続していますが、インフラも復旧が進みつつあり、4月1日に期間の予定とのことです。
さて、昨日は市の水道課に仙台市のお年寄り(女性)から電話があったのだそう。
電話の内容は、「小学校で給水を受けているとき、給水車に釧路市上下水道部と書かれていたので電話をしました。『北海道からこんなに遠くまで、支援に来てくれているのだと、嬉しかった。何も御礼ができないけれども、一言感謝を伝えたかった』とのこと。
給水部隊では改めて「派遣して良かった」と喜んでいます。
これからは下水道職員の派遣局面を迎えます。また釧路の名を高らしめるべく奮闘を期待しています。
話題の中心は、「人口減少化におけるコンパクトシティの意味」ということ。人口が減って経済がなかなか上向かない中では、かつての人口増加局面での街づくり手法はもはや通じません。
人口が増えることで土地に対するニーズが増加し、原野を市街地として整備してそこに様々な建築が広がって建設それ自体も経済を拡大させさらに土地の価値が上がることで地域の価値が上がるというのが人口増加局面での経済成長の図式。
経済が成長するから市税も増えてさらに都市整備にお金を使うことができ、市全体の価値も上がってきたのでした。
もちろん釧路市の場合は、石炭産業が力強く石炭の売り上げと地域雇用が力強かったこと、また水産業の水揚げとその周辺産業の好調が続いてきたこと、さらには釧路三大産業である紙パルプも好調が続いてきたということで、人口増加をもたらす要因もあって地域経済は好調な時期が続いてきました。
しかし、石炭産業が国の産業政策としては一定の役割を終えて規模が大幅に縮小し、また200海里問題を境に水揚げも次第に減少。これらの産業が地域経済を支える力が減りはじめ、そこへ人口減少局面を迎え始めたというのが今の釧路の現状なのです。
実に難しい局面です。

【釧路の人口推移と主な出来事】
特に、不動産に対するニーズが減ったことで建築物の所有者が金融ファンドを転々とし、ついに持ち主が行方不明になるという事態も増えています。
空き地であればまだ後に使いやすいのですが、こうした『主無き建物』が残ると民間財産の権利処理に加えて除却のために多大なお金がかかるのでその後の地域づくりが難しくなるのです。
※ ※ ※ ※ ※
従って、地域のまちづくりをしっかりと行うためには、①人口によらないしっかりとした経済を立て直す、②人口減少によって市の収入が減少しても耐えられる施設計画・施設管理計画を打ち立てる、ということが考えられます。
しかし①の経済立て直しは、狙ってできるとは限らず地道な取り組みを継続してゆくしかありません。
ただ、②の施設管理費にかかるお金を軽減する措置は市民とともに頑張ればできそうです。これがコンパクトシティや公有資産マネジメントといった取り組みが必要な理由です。
コンパクトシティは、市街地が大きく広がってそのために学校や公民館、福祉施設などの配置や数も増えてしまっているのをいくつかの核的エリアに集約させてゆこうという考え方で、買い物や行政手続きなどをできるだけ近場でできるような都市配置にしようというものです。
ところがこれがまた、自家用車などの移動手段を持っている人にとっては近くても遠くても構わないわけで、「別に近くにお店がなくたって、ドライブがてら遠くのショッピングセンターに買いにゆくからいいよ」と言う人が多いのも事実。
そしてその逆に高齢者や障碍者などの自由な移動手段を持たない人たちにとっては、近くにお店がなくなると死活問題。つまりコンパクトシティも、やってほしい人たちとどうでもよい人たちという市民が二分されることにもなるのです。
しかも人口減少化で土地の値段が上がらなければ、かつてのような再開発や区画整理などのまちづくり手法は力を発揮できません。
市民ニーズに基づいた都市改造がエンジンになるとすれば、今後は福祉政策や住宅政策、さらには魅力的な学校を作るなどの取り組みを地道に行うしかなさそうです。
※ ※ ※ ※ ※
一方、今保有している施設については修繕や建て替えなどの今後の予定を精緻に積み上げて、お金のかかるタイミングを調整しながら施設の統廃合や機能の融合を図るしかないでしょう。
それが公有資産マネジメントと呼ばれる取り組みで、これからは中期的な展望をしっかりともった施設管理計画を立てることで管理経費の削減を図らなくてはなりません。
今分かっていることを明らかにして、市民の皆さんと問題意識を共有しながら対策を地道に行うことが重要です。
地方の課題が多い都市こそ、課題先進都市であり同時に解決法先進都市になりたいものです。
【宮城県へ派遣の給水支援部隊】
3月21日に釧路を出発し、仙台で給水活動を続けてきた第一班は昨日第二班と交代し、現在船で釧路へ帰還中。交代した第二班は、第一班とは給水箇所を変えてさらに給水活動を継続していますが、インフラも復旧が進みつつあり、4月1日に期間の予定とのことです。
さて、昨日は市の水道課に仙台市のお年寄り(女性)から電話があったのだそう。
電話の内容は、「小学校で給水を受けているとき、給水車に釧路市上下水道部と書かれていたので電話をしました。『北海道からこんなに遠くまで、支援に来てくれているのだと、嬉しかった。何も御礼ができないけれども、一言感謝を伝えたかった』とのこと。
給水部隊では改めて「派遣して良かった」と喜んでいます。
これからは下水道職員の派遣局面を迎えます。また釧路の名を高らしめるべく奮闘を期待しています。