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駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

安寿ミラ40th Anniversary『FEMALE vol.15』

2020年12月05日 | 観劇記/タイトルは行
 よみうり大手町ホール、2020年12月3日16時。

 1980年に宝塚歌劇団入団、1991年に花組トップスターに就任し、退団後も女優、振付師として活躍してきた安寿ミラが1977年から開催している『FEMALE』の第15弾、舞台活動40周年記念公演。構成・演出/荻田浩一、音楽監督/佐藤晃、振付/三井聡、ステージング/ANJU。

 何度か語っていますが私の宝塚初観劇は1993年6月、花組東京公演『メランコリック・ジゴロ/ラ・ノーバ!』なので、私にとってヤンさんは初めて観たトップスターさんであり初めてのご贔屓、ヤンミハは私にとってトップコンビの基本です。
 とはいえ『FEMALE』は実は全然観られていなくて、都合がつかなかったりチケットが取れなかったりそもそも開催を知らなかったりで、唯一行けたのが芸能生活25周年、退団10周年の記念公演回でした。でもミュージカルはけっこう観ているつもりで、『ハムレット』も『星の王子さま』も『スペリング・ビー』も『ジョアンナ』も『ニジンスキー』もヤンさん目当てで行きました。今回踊ってくれましたけど『グランドホテル』もね。『アルジャーノンに花束を』は確か銀河なんで見送ったんだと思います(またか…)。『タイタニック』はヤンさんが出てないときに観たんじゃなかったかな…
 ヤンミハならマグコンね、抽選が当たったときはホントに嬉しかったなー! ミハルなら『阿修羅城の瞳』や『蒼の乱』を観ています。
 というわけで今回も、初回はアサコ、千秋楽はタモと華曜子ちゃんがゲストだそうですが、迷わずミハルゲスト回を選んで、お友達のおかげで観劇させていただけました。
 ちなみに私は初めて行った会場で、とても素敵でよかったです。そして会場までのエスカレーターでOGに挟まれてしまい、客席では同じ列や後ろの列にOGがわさわさいて、帰り道では地下鉄の駅までずっと某元花組トップスターの後ろを歩く形になってしまいました…みなさん、マスクでもわかる美貌とオーラがすんごいですよね。実は会社を抜け出して行ったのですが、あっという間に俗世を忘れましたよ…

 第一部、冒頭はボブの鬘に黒のドレス(カッティング最高!)、トレンチコートのヤンさんが、酔っているのかな疲れているのかな、雨の中をフラフラしていると傘を差し出す男が現れ…というような、せつなげなダンスから。続いてヤンさんは白というか銀というかなドレスになって、今度は翼みたいな波みたいな、なダンス。そのあとは黒のパンツ姿になってジャジーな踊り…でしたかね? そして白ブラウスにベージュのパンツで、退団後のミュージカルの歌をいくつか…だったかな? あれ、でもヤンさんグルーシンスカヤに三井さんの男爵で「Love Can’t Happen」もありましたよね。順番ヘンだったらすみません、まあ泣いたよね…
 そして第二部、デコルテが白で下は黒のドレスのミハルが登場して『スパルタカス』から「♪いつも夢見ていた…」と歌うものだからもう号泣。ミハル、よく歌うよねこの歌。もちろん記念すべきトップコンビお披露目公演のものだから、というのもあるだろうけれど、ホントいい歌ですよね。そして私はそんなわけで『スパルタカス』には生では間に合っていなくてのちにビデオで観ただけなんですけれど、実はわりと好きな作品です。当時は新トップコンビがともに奴隷の役だなんて、とか、特にミハルのルシアはちょっとかわいそうな役で、当時花組って娘役の宝庫だったので陽子ちゃんもさっつんもなんならゆかしさんだってもっと良く見える役をやっていたので、そういうこともあっていろいろ不評だったと聞くのですけれど、私は再演してもいいと思っているくらいの作品です。役が多くて、ドラマがある。前物が日本物ショーだったのでフィナーレがついていましたが、それより何よりあのイミフギリギリのプロローグごとゼヒ上演してほしいとずっと願い続けています。『大海賊』や『エル・アルコン』をやるくらいなら、誰かヤンさんに憧れて入団したって人がトップになるときにやってくれてもいいのよ…?
 それはともかく2曲目、『ラ・ノーバ!』からなんとびっくりサブロッソ! 「好きだよ」「いけないわ」「離さない」「乱暴にしないで」「愛してる」「じゃあ私を自由にして」…でしたっけ、あの掛け合いがホントにいいんですよね! 前奏だけでたぎっていると、黒ジャケットに黒パンツのヤンさんがすっかり男役の顔になって登場! 短い振りでしたがさらにたぎるたぎる! のちのトークによれば退団後ほぼ初めて歌ったのではないかとのこと。貴重なものをありがとうございました…
 そして『メランコリック・ジゴロ』より「しあわせの夢」。階段に腰掛けたミハルがもうフェリシアの顔しててまた号泣。というかヤンさんダニエルって私の宝塚歌劇の原点だな、と改めて思いました(なんかそんなスカステ番組ありましたよね…)。苦学生で、大学の授業料を捻出するために落ちぶれ貴族の元ボンボンの親友とともに慣れないジゴロ稼業なんかやっていて、でもそもそもシャイだし根が真面目なものだからそこまでワルに徹しきれなくて稼ぎも今イチな、本当は優しくて誠実な青年…そんなキャラクター、少女漫画の中にしかいないと思っていましたが、その三次元化が宝塚歌劇の舞台では成立しているということに、激しく心揺さぶられて私は沼に落ちたのでした。
 4曲目は『哀しみのコルドバ』より「エル・アモール」。そんなわけでこの作品は、再演でしたが、私が初めて迎えるご贔屓の卒業公演として思い出深いものなのでした…チギちゃんのも観たけど、やはりヤンさんエリオとミハルエバは私にとっては至高でしたよ…!
 ただしふたりとも、当時も今も別に歌の人ではないし、ヤンさんはだいぶシャンソンを歌ってきているはずだけれどやっぱりこういう歌はあいかわらず別に上手かないんだな、というのがまたご愛敬でよかったです。いいの、空気を、雰囲気を味わいに来ているのですもの。でもそれからすると大空さんは歌が上手くなっていると思うし、歌手としておもしろい、深いいい声をしていると思うんだけれどな…
 そしてトークコーナーへ。「赤コーナー…」と高らかに呼ばわってミハルを紹介するヤンさん、初っ端から飛ばしていました(笑)。ミハルが笑ってキャンキャン言いつつついつい近づこうとすると「ソーシャルディスタンス!」と言って距離を置かせる様子がもはや「ハウス!」と同じノリ(笑)。そしてタモと一緒にダイエットに励んだけどピザ食べちゃった、とかLINEで報告し合っていたらしいじゃない?と暴露。ミハルはヤンさんと共演するとなったらいつもは直近二か月くらいはジムに通いまくってダイエットするそうですが、今回はコロナで外出もままならず…とミハルが言い訳するとすぐ「モリモリミハルです」とつっこむヤンさん…(笑)でもミハル、本当に痩せてたよ可愛かったよ! ブログによればヘアメイクさんがやってくれたという髪型も、とても似合っていて素敵でした。なのにヤンさんはドレスの肩紐が食い込んで赤くなっているよ、とミハルを弄りまくる…愛ですね(笑)。そんなヤンさんは、いつもなら自分の構成や振付なのでそこまで踊らないのに、今回はオギーに頼んでしまったものだからいつもよりがっつり踊らされているとのことで「痩せちゃったわよ」とアッサリ。「お肉、あげますよ」「上質のものなら…」「いい脂のってますよ」という掛け合いもまた楽しかったです。
 それから『メラジゴ』の公演で、ヤンさんを追ってトランク持って銀橋を走り抜ける場面があり、あるとき最後に転んで銀橋から花道までシャーッと滑ってしまい、そうしたらそこで暗転になって何も見えずわたわたしていたら、ひょいっと助け起こしてくれる手があり、なんとそれがヤンさんだった…という話を、途中ヤンさんに「その話、オチあるの?」とつっこまれながらも楽しそうに萌え萌えで語るミハルがとてもキュートでした。ちなみに白城あやかの笑い声が客席でよく響いていましたよ…(笑)
 そうそう、共演打診のときには他のメンバーは「スケジュールを確認してお返事します」とか「スケジュール調整します」という回答だったのに対し、ミハルだけが「出ます」と即答だったそうで、「お忙しくない中お越しいただきまして…」とヤンさんに笑いながら紹介されていたのもまた良きでした。そりゃ相手役さんの記念公演、万難を排してでも参加しますよね。愛ですよ! 当時は今ほどトップコンビにカップル感が求められていなかったり、少なくともこの組に関してはヤンミキ人気の方があったことは確かだったと思うけれど、お芝居とダンスの質が実によく合ったお似合いのコンビで、同時就任で4年ちょっとくらいかな?がっつり組んで同時退団、二番手コンビに引き継ぐ…という美しい軌跡を描いてくれて、私はこれを観て育ちファンになったのでこのあたりが基本なんだな、と改めて思ったのでした。卒業後も仲良さそうで何よりです。
 最後はミハルが「いのちの歌」を。これがまた良くて、泣けました…
 第三部はゴールドベージュのパンツスーツみたいなお衣装で、確かラスト大階段のスーツがこんな色だったよね、とまた泣けました。シャンソンや宝塚メドレーをたっぷり、そして10年前の記念公演でも歌ったという「帰り来ぬ青春」を歌っておしまい、でした。宝塚メドレーではヤンさんの持ち歌ではなくファン時代に好きだったのだろう曲なんかもあって微笑ましく思ったり、『ラ・ノーバ!』の中の歌でヤバい女装したミキちゃんが周りを踊る幻が見える!って曲もあってたぎったり、もう大忙しでした。
「好きなことをやってきただけで、40年といってもただの通過点で…」と語るヤンさんは本当にナチュラルで、のびのびと楽しそうで、美しかったです。引き続き自然体でがんばっていただきたいですね。というかヤンさんの域になればもはや、無理してがんばるなんてないんだろうなあ。でもがんばることはある程度習慣になっていて、挑戦することを常に楽しんでいるのではないかしらん。そんな美しく健やかな生き様を、引き続き見せていただけたら嬉しいです。
 この公演も本来なら四月開催を予定していたそうで、延期もしたし開催できるのだろうか、お客様に来ていただけるのか不安だった、とも語っていました。すごくありがたがられましたけれど、こちらからしたら観せていただいてありがとうございますとただただお礼を言いたいです。私はおかげさまで在宅勤務もできていて、たまの出社とたまのスーパー貸し出しとたまの観劇以外は引きこもっていて、罹患もせず感染を広めもせずおとなしく生きているつもりで、でも逆にチケットが取れたら行かない選択肢はないので、十分に用心してなるだけさっと行ってさっと帰ってくるようにして、客席でお友達にバッタリしてもなるべく騒がないようにしています。そうやってでも生の舞台を観てエンタメに触れられないと私はやはり生きづらいので、興行側にも引き続きいろいろと注意しつつも、公演は打っていっていただきたいと思うのでした。
 もう良いお年を、と挨拶されてしまいましたが、今年もあと一か月、まだまだ油断せず参りましょう…





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