駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

麻生みこと『そこをなんとか』(白泉社花とゆめコミックススペシャル全15巻)

2018年12月29日 | 愛蔵コミック・コラム/著者名あ行
 弁護士は儲かる! そんな考えから成績ギリギリで弁護士になった改世楽子。しかしその年の司法試験には大量の合格者で、就職にあぶれてしまった楽子は零細事務所に押しかけ就職!? そこには嫌味でデキる先輩弁護士・東海林がいて…新米弁護士の奮闘記。

 隔月刊誌(連載当初はまだ月刊誌だったかな?)「メロディ」にて11年に及んだ連載でしたが、楽しく読んできました。
 理屈っぽい人間なので、法律とかそういう理屈が通ったりでも通らなかったりする法廷ものというかリーガルものというかが昔から大好きなのです。一話完結で、本筋が進む話もあれば本当に事件や裁判メインの話もあり、らっこが活躍することもあれば騙されることも失敗することも描かれる、いい作品でした。菅原先生や久保田さん、中道先生や赤星くんといったキャラクターの置かれ方もとても上手かったです。
 で、もちろんらっこと東海林先生のラブコメとして読んだわけですが、後半は本当に「この赤星君をどうフるの!?」と心配で心配で…なんせらっこがザルなので酒の上での不埒なんてネタは使えないし、赤星くんだって意外と(オイ)誠実というか真面目というか気弱というかプライド高いというか、要するにらっこに本当の意味では愛されていない、必要とされていないことがわかっちゃってるから踏み込めない、でもあきらめきれない、という事態が長く続いたわけで…
 で、結果、まさしくその「長く」続いた「時間」が解決してしまったわけです。最終巻は厚く最終エピソードも長く最終裁判にも時間がかかったわけですが、その時間の長さに恋の情熱は耐えられなかったのです。こんなに会わないですむのなら残りの人生も一緒でなくてもやっていけるってことですもんね。赤星くんは愛よりプライドを取ったのかもしれませんが、それでも正解だったと思います。中道先生が言うほど彼は誰でもいいわけじゃなくて、意外に面倒な男だとは思いますがしかしこういう男が得意な女もいるものなので、赤星くんのことはやはり心配にはなりません(ヒドい)。でも東海林先生は心配だもんね。
 東海林先生は正しく「私のメガネくん」でした。好き…! ラブコメと言いつつラブ以前みたいなもので、らっことはチューもしてなきゃ手も握っていません。でも愛があるのは充分にわかる。からの、ラストのあの台詞ですよあの見開きですよダブルミーニング最高! 上手い!! 犬の肉球以上にときめいた!!!(笑)今どき男が女の頭ポンポンするなんて(まあ「ぐりぐり」だけど)、ってのはあるんだけどこれはソレと違うってのも充分わかるじゃないですか! だからこそ素晴らしいわけですよ!!
 菅原先生と久保田さんの松本ライフとか、ちみちみ番外編が描かれるといいなとも思いますが、とりあえず綺麗に完結してよかったです。大満足で愛蔵するのでした。


 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 宝塚歌劇宙組『白鷺の城/異... | トップ | 宮崎駿『風の谷のナウシカ』... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

愛蔵コミック・コラム/著者名あ行」カテゴリの最新記事