駒子の備忘録

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池田理代子 『ベルサイユのばら』『ベルサイユのばら外伝』

2010年02月26日 | 愛蔵コミック・コラム/著者名あ行
 正編は集英社マーガレットコミックス、全10巻。
 外伝は中公文庫コミック版。

 1755年、ヨーロッパにある三人が生まれた。スウェーデン貴族のハンス・アクセル・フォン・フェルゼン。フランスのジャルジェ伯爵家の末娘、オスカル・フランソワ。そしてオーストリア・ハンガリー女帝マリア・テレジアの第9子マリア・アントニア、後のフランス国王ルイ16世妃マリー・アントワネットである…フランス革命を背景に交錯する三人の生涯を描いた歴史絵巻。

 確か小学生の頃、おたふく風邪で学校を休んでいたときに、従姉妹がお見舞いにくれた単行本だったと思います。お下がりなので一部カバーなし(泣)。

 一番好きなシーンは、オスカルが女装(! 盛装して、と言うべきでしょうな)してフェルゼンと踊るくだり。
 着飾って好きな人と、というのもいいんだけれど、誰でも、人が自分に聞かれているとも知らず自分を誉めて言ってくれるのを聞くのって、うれしいと思うんですよ。それがまして好きな人の口から語られるんだから、最高に幸せなんじゃないでしょうか。ここのオスカルの涙に、読むたび一緒になってうれしくなってしまうのです。

 「2001」と銘打って再び宝塚歌劇で上演されるんですが、はたしてどうなりますことやら。下手に大時代的に演出しないでほしいんですけれどね。

 宝塚ファンの間ではその台詞から「今宵一夜」と呼ばれているオスカルとアンドレの一夜のシーン(原作では「こん夜ひと晩」)ですが、やはりいいですね。
 オスカルが
「生涯かけてわたしひとりか!? わたしだけを一生涯愛しぬくとちかうか!?」
 とアンドレに返事を強要するところがいいのです。
 愛しているから全部あげるなんてもんじゃない、愛しているといったらそれは絶対に一生のことなのだ(「あげる」から一生、なのではないことに注意)、それを当然のこととして要求する権利が女にはあるのだ、ということをこのシーンは教えてくれるのです。

 かつて宝塚版ではこのくだりのオスカルがやたらと女々しくてファンの間でも論争になったそうですが、ここにこのシーンの本質があることを理解しなければいけません。
 読んだ当時はきちんと理解していたとは思えませんが(^^;)

 最近では、このシーンには、身分の差があって法律的な結婚はできないけれど、すべてを与え合うことでお互いを「夫」「妻」と呼ぶ、というところなんかいいなあと、この年になると思います。
 ちょっと平安時代の日本の貴族の結婚みたいですね。事実婚というか。
 でも、そもそも結婚って、夫婦って、そういうものですよね。社会契約の側面を除けば、「夫」「妻」というのはつまり「彼氏」「彼女」と同じ、恋人の名前なのですから。(2001.4.2)
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