駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

後白河安寿『貸本屋ときどき恋文屋』(集英社オレンジ文庫)

2016年06月02日 | 乱読記/書名か行
 貸本屋「ゆうづき」で働くなつは、実は由緒ある武家の生まれ。恋ゆえに出奔した兄を捜すため、単身江戸へ上ったのだ。ある日、本に興味のない植木屋の小六が歌集を借りていく。恋歌がうまく作れないという彼に、なりゆきで協力することになるが…

 初めて読んだレーベルなのですが、キャラクター文芸なるものをやっていくレーベル…なの、か、な?
 でも、この作品がたまたまなのかもしれませんが、ちょっとレベルが…低すぎません?
 この作品に関しては、キャラクター文芸というより単なるライトノベルで、しかもちょっと前のラノベのレベルですよね。文体が、漫画のモノローグをそのまま文章にしただけのようなしろもので、ラノベとしても出来が悪いと思いました。ちょっと素人っぽすぎる。
 ましてキャラクター文芸としては…このヒロインと、店の常連のお武家の青年がキャラクターとしてすごく立っているかというとまったくそんなことはないとしか思えないし、持ち込まれる相談事のエピソードによってはいくらでも連作できるのでしょうが、企画として弱いというか、魅力に欠けると思うのですが…
 もうちょっとちゃんとした、時代小説を期待していたのですが、それは私が望みすぎだったのでしょうか…
 売上的にも苦戦していると聞くしなあ。キャラクター文芸なるものはジャンルとしてはあるんだと思うんだけれど、専門のレーベルを立ち上げるほどなのかというとはなはだ怪しいし、あまり安易に流行りに乗ってレーベル創刊とかしない方がよかったんじゃないのかなあ。まあドジョウが何匹もいることはあるから、チャレンジすること自体は悪くないとは思いますけれどね…ちょっと、残念でした。



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