駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇専科・雪組『パッション・ダムール』

2020年10月14日 | 観劇記/タイトルは行
 宝塚バウホール、2020年10月13日14時半。

 ロマンチック・レビューの粋を集めた構成の、凪七瑠海コンサート。ショルダー・タイトルは「ロマンチック・ステージ」。作・演出/岡田敬二、作曲・編曲/吉﨑憲治、甲斐正人、植田浩徳、振付/羽山紀代美、御織ゆみ乃、若央りさ、百花沙里。

 昨年のOGによるコンサートも胸アツでしたが、どうしても歌中心だったので、現役生でダンスも観られるとあってワクテカで出かけました。「歌劇」での対談やスカステニュースの稽古場トークから、あのレビューのその場面もこの場面もやっちゃうの!?とときめきまくりでしたし、プログラムで間奏曲のタイトルを読むだけでテンションが上がりました。そして雪組はロマンチック・レビューがとてもとても久しぶりなんですよね…? 梅芸組ときぃちゃんMS組の下級生たちがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、というのも楽しみでした。
 ありがたくも真ん中くらいの列のどセンターという大変観やすく素晴らしいお席をいただいたのですが(今回は3列目以降を全席客入れしていました。客席降りはナシ)、なんせ真ん中のカチャにあまり興味がないもので、脇か奥ばっか観ててすみません…あ、でも「妖精の森」の貴公子はよかったなー。ああいうお衣装をてらいもなく着てこそ真の宝塚スター!だと私は思っているので。
 スチールが出たのはカチャとあがちん(縣千)だけなので、彼女が2番手なのでしょう。新進気鋭の101期ですね。実際にはほぼはいちゃん(眞ノ宮るい。期待の100期。この人とかりあんには新公主演をゼヒさせておきたいと思っているのですが!!!)とシンメでしたが、パラダイスの歌手とか「SHE」のソロとかがあって鍛えようとしているのが窺われます。私はこの人はおだちんと並ぶ大器だと思っています、楽しみ。
 娘役陣はみちる(彩みちる)とりさちゃん(星南のぞみ)がカチャの相手役を分け合っていました。ガウチョの恋人やジゴロのところがみちるで、りさちゃんは妖精Aと令嬢Sというベタな分け方。私はりさちゃんが濃い芝居をするのとかも大好きだし(『ワンス』とか)、みちるには正統派ヒロインがきっちりできる娘役力があると思っていますが、でも今回のりさちゃんは大正解で、みちるは正直もっとできるかなと思っていたんだけど(ちょっと痩せすぎ…? 顔の丸さがなくなっちゃってパワーが落ちた気がしました…)まあまあ色っぽく艶やかで、よかったです。そしてどちらも歌わない(笑)、これまた残念ながら正解ですよね…
 そして躍進しているのが希良々うみちゃんですよね! ホント上手い!! 悪い意味ではなくて、プロ娘役って感じがするんだよな表情の作り方とかたたずまいとかが! あざといとかではなくて、ただ本当に上手い、と思います。私は可愛い子が好きで上手いだけではそんなに惹かれないつもりでいたのだけれど、この人には完全に屈服しますね…よくひっとんが「舞空プロ」とか、多分あまりいい意味でなく言われたりするんだけれど、私はひっとんのことはそういうふうには思えなくて、でもうみちゃんにはホント感心するんですよね…ジゴロ場面の歌う女、絶品でした。
 …と、メインどころの生徒に言及したあとで、順に場面を追いますと、プロローグはオリジナルの主題歌で、全員赤基調のお衣装で情熱的なスパニッシュ。そしてまず「間奏曲Ⅰ」が、最近だとマギーが歌った、でもやはり私にとってはミキちゃんの歌かなーという「DRIFTER IN THE CITY」。雑踏のBGがもうニヤニヤものでした。
 次が『ネオ・ダンディズム!』のガウチョ場面なんですが、私はこのショーは実は観ていないようなんですよね…記憶がない。サワリで壮海はるまくんと愛陽みちちゃんがいっぱいいっぱいながらもフレッシュに歌っていて好感持てました。みちちゃん、カワイイよね。なんとでもなる、娘役さんらしい可愛らしさを持っている下級生さんだと思います。期待したい。
 続く「間奏曲Ⅱ」は有栖妃華ちゃんと莉奈くるみちゃんで「ラモーナ」。莉奈くるみちゃんもまたなんとでもなりそうな、娘役さんらしい可愛らしさの持ち主ですね。しかし私はあいかわらず有栖妃華が苦手なのだった…目をかっ開く癖は早々になんとかした方がいいのではあるまいか。もっと常に笑ってルリルリしている目を作らないと、いつまでたっても可愛く見えないと思うんだけどなあ…エトワールだけしていればいいというものでもないと思うので、がんばってほしいです。
 そして『Amour それは…』から「妖精の森」。娘役ちゃんがみんな色とりどりのロマンチック・チュチュみたいなドレス着て、その中で真っ白なりさちゃんが本当に美しくて、観ていてただただ幸せでした。
 「間奏曲Ⅲ」は天月くん、叶くん、汐聖くんの「You and the night and the music」。三者三様に濃くて、大満足。そしてみんな大好き『ル・ポァゾン』より「愛の誘惑」。「オリジナル振付/喜多弘」の文字がキますよね! あがちんが投げたリンゴを追ったライトがちゃんと飛んでカチャの手に移るの、大事! そして着替えたあがちんが戻ってきて加わるときの2番手感、たまらん!! タイピンがシャツにちゃんと留まっていなくて、ネクタイがぐるんぐるん飛び跳ねていたのもあがちんらしくて堪能しました(笑)。からの謎電話、キター!!! テンション上がりました。
 「間奏曲Ⅳ」は叶くんの「Smile」。さすが上級生の余裕がありましたが、ホントはここはあすくんだったりしたのかな…
 1幕ラストは白燕尾で「ALL BY MYSELF」。いい歌なんだけど、別に上手くないところが痛かったかもしれません…
 2幕はみんな大好き『ダンディズム!』の「ハードボイルド」! 私はリカチャーリーの極太ストライプスーツのダンスを覚えているので、たぎりまくりました!! スーツは残念ながらオリジナルではなかったようですが、はいちゃんとあがちんががっつりぶつかり合って踊ってくれて大満足! はいちゃんの前髪がちょっとはらりと乱れるのがまたイイんだ!! 同じ振りでもはいちゃんはシャープで端正で、あがちんはエネルギッシュで熱く踊るので、どの場面でもホントいいシンメでした。男女カップルは天月・叶と千風・沙羅という上級生カップルだったのもとても良き。男たちの踊りもほぼママだったのも良き。
 「間奏曲Ⅴ」は有栖ちゃんの「仙女の祈り」、そら絶品ですよ銀橋見えましたよショータイトルの電飾看板がバックに見えましたよ、圧巻でした。
 続く「学生王子」はなんのショーからだろう…? ここの紫のドレスの令嬢りさちゃんも大正解でした。
 そして「間奏曲Ⅵ」は天月くん、千風さんの「夢・アモール」。また電飾看板が見えたよね…! 「間奏曲Ⅶ」はあがちんの「SHE」で、うみくるみみちの可愛子ちゃんズ場面。歌は別に上手かないが、まずは場数だがんばろう! 私は応援しています。
 そして『ラ・カンタータ!』や『テンプテーション』の「愛の歌」をボレロにして(「熱愛のボレロ」ではないのがミソ)、そのまま「さよならGoodbye」までなだれ込むフィナーレ。
 最後のラインナップで出演者が毎回3人ずつコメントしているようですが、叶くんがなっていなくて残念でした。一文は短く、語尾は言い切る! 「~でー、~でー…」とダラダラつなぐのはみっともないよ! そういう話し方を初期にお茶会でしていた某娘役さんにお手紙書いたことありますよ私…今やスカステとかでも立派にきっちりしゃべっていますよその生徒さんは!
 最後はなんかサヨナラショーかな、みたいな感じもありましたが、専科スターの主演コンサートならこれくらいやってもいいのでししょう。てか餞別なんだろうしね、とか私は思ったりしているのでした。ともあれロマンチック・レビューは宝塚歌劇の財産なので、いい再演やコンビレーション・レビューを作ってほしいなあ、と思っています。

***

 ところで、同じく専科の星蘭ひとみちゃんの来月末付け退団が発表されましたね。何かの公演に出ないのかなあ、袴で階段下りないのかなあ、ファンも寂しいだろうなあ。『カネ恋』の演技も正直どうかなとは思ったのですが、『鎌足』の起用法なんかとても良かったし、やはり舞台で生かしてほしかったけれどなあ…残念です。

 『エル・アルコン』再演配役が発表されたりもして、宝塚歌劇がようやくコロナ禍以前の元気さ、にぎやかさ、気ぜわしさを取り戻しつつあるようで、嬉しい限りです。とはいえまだまだ油断せず、客席やロビーでの会話も控えて、手指消毒も咳エチケットも忘れずに粛々と劇場に通いたいと思っています。みなさまもどうか、引き続きご安全に…





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