駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『銀河鉄道の父』

2020年10月16日 | 観劇記/タイトルか行
 新国立劇場、2020年10月15日19時(初日)。

 物語は政次郎(的場浩司)の葬儀のシーンから始まる。愛妻イチ(大空ゆうひ)、末っ子で家を継いだ清六(栗山航)に見送られた政次郞は、「はざまの停車場」で賢治(田中俊介)と出会い、人生を振り返る…
 原作/門井慶喜、脚本/詩森ろば、演出/青木豪。直木賞受賞作を家族の会話劇として舞台化。全1幕。

 抽象的なセット(美術/杉山至)が印象的な舞台で、それを存分に生かしてくるくるパタパタ話が進む印象の作品でした。ちょっと緩急なく感じられたかなー、初日だからかなー。私は原作小説は昔ハードカバーで読んだ記憶がありますがあまり印象に残っていなくて、「ああ、そうだったそうだった」とか思いながら楽しく観ましたが、ちょっと焦点のないお話に思えたかもしれません。天才の父、というよりは、この時代にしては珍しく息子に甘かった父親と、なんらかの才能はあったのかもしれないけれどワガママ勝手なフラフラふわふわした息子…がテーマ、ではあるのでしょうが、そしてほろほろ笑いも沸いてましたが、作品として温まるのはこれから、なのかなあ?
 賢治の妹トシは乃木坂46の鈴木絢音。舞台もいろいろやっている人だそうで、可愛くて達者でした。でも子供チームだと弟役がよかったかなあ。要所を押さえているように見えました。
 大空さんは、普通のお母さん、な役どころ、かな? この時代の、地方の、やや裕福なところの奥さんでお母さん。夫や夫の姉や子供たちを愛し気遣い、普通にオタオタおろおろパタパタしている可愛い「おがさ」でした。すごーく上品とか、どーんと肝っ玉が据わっている、とかはない。本当に普通で、でもキュートでした。なんでも上手いなあ。プログラムやポスターなどの宣伝ビジュアルははんなり美人でとても素敵で、もっと若い役でももっと老けた役でもなんでもできる、女優さんとしていい年代になってきたなとファン目線ながら思います。先日のイギリスのお屋敷の女中頭とは全然違ったのもまたおもしろかったです。今後も楽しみです。
 客席はまだ市松模様でしたが、男性客が多く、宮澤賢治ファンなのかなあとか思ったりしました。私は結局どれもちゃんと読んだことがないかもしれません…
 盛岡弁、役者としてはイントネーションその他いろいろ大変だったでしょうが、ワケわからんみたいなこともなく、耳に優しくほっこりしました。
 ラストの汽笛が印象的で、ちょうど『劇場版 銀河鉄道999』のテレビ放送を見たところだったりもしたので(笑)、鉄道ってロマンだよなあ、としみじみしました。良き演目に進化していきますように!

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 宝塚歌劇専科・雪組『パッシ... | トップ | 高森朝雄・ちばてつや『あし... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

観劇記/タイトルか行」カテゴリの最新記事