岩井圭也『完全なる白銀』（小学館）

「山頂で"完全なる白銀"を見た」という言葉を残し、冬季デナリで消息を絶ったリタ・ウルラク。だがマスコミは「彼女は〈冬の女王〉ではなく〈詐称の女王〉だ」と、彼女の登頂を疑う記事を書き立てた。藤谷緑里はリタの幼馴染みシーラとともに、彼女の足跡を追って北米最高峰に挑むが…山岳小説の新たなる傑作。

　スリリングでエモーショナルで、おもしろく読みました。でも、緑里もリタもシーラも女性キャラクターだから、なのかもしれない…と途中から思うようになりました。これが全員男性キャラクターなら、今までにもたくさんあった、よくある小説なのではないかしらん、と。
　登山というものも体力勝負なのでしょうから、多少の男女差があるのは仕方ないにせよ、それでもこの分野も必要以上の性差別が横行しているんだろうな、と思いました。そして作家は男性です…ちょっと、しょんぼりしました。