駒子の備忘録

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『サントリーホールでオルガンZANMAI! オルガン×ベルサイユのばら』

2023年08月14日 | 観劇記/クラシック・コンサート
 サントリーホール、2023年8月11日15時半。

 主題歌「薔薇は美しく散る」を始め、馬飼野康二作曲のテレビアニメ『ベルサイユのばら』劇伴音楽をオルガン用に編曲し、演奏とともに朗読を披露するコンサート。オルガン/原田真侑、朗読/七海ひろき、演出/田中麻衣子、編曲/坂本日菜。

 謎の政府の謎の宴会への酒の謎の無償提供の件といい、保険証廃止に関して「納期」と言い放つ厚顔ぶりの件といい、私はいちいちメーカーを見て買い物をしていないので不買運動はできていませんが、しかしわかっていて避けられるなら避けたいところではあるサントリー案件で、金を落とすことには忸怩たる想いがあるのですが…しかし、サントリーホールはクラシック音楽の殿堂であり、その舞台に現役、OG問わずジェンヌが立つことなどほとんど空前絶後のことかと思われ、かつ一時間聴いて三千円というのは破格のお値段ではと思われたので、いそいそとチケットを取ってしまいました。
 正直、お盆時期だし、わりと直前に発表されたイベントでもあるし、前列センターブロックしか埋まっていないガラガラっぷりなのでは…とか思っていたのですが、意外や二階もサイド席までよく埋まっていて、壮観でした。えっ、かいちゃんってすごくない!? えっ、だってこのみんながみんなオルガンファンなわきゃないでしょ!?(暴言)いやサントリーホールのパイプオルガンは世界でも最大級の規模のものだとは知ってはいますが、それでも言うてもやっぱりメジャーな楽器ではないから、こうして毎年一日がかりでいろいろなイベントを開催して、ほぼ無償で見せて聴かせてファンを増やそうとあれこれやっているわけですよねホール側は? 『ベルばら』とのコラボ、そこにジェンヌを呼ぶ、という発想や企画がどこから出たものかわかりませんが、読みは当たって、有料にしても客が呼べると踏み、そして実際に客が入って、企画としては大成功なわけです。今どきのこととはいえ配信もアーカイブまである…かいちゃんは言い方悪いけど客寄せパンダとしての役目をきっちり果たしたのであり、またひとつお仕事の幅を広げ先につなげたじゃん、というまさに快進撃だと思いました。
 いやホントすごいよかいちゃん、しごできすぎるよ。でも楽しいんだろうな充実してるんだろうな。なんでもやってるわけじゃなくてちゃんと吟味していて、でも臆することなくいろいろチャレンジしているようなのがいいですよね。それで本業(?)の声優の仕事もバンバン決まっていってるし、次は舞台のプロデュースもやっちゃうし、ホント八面六臂の活躍です。単に女優としてビッグになっていくOGはいても、こういうケースは他になかなかないわけで、ホントすごいと思っています。この先も期待しかありません。
 まあ私はホント言うとそんなにはファンではなく、あくまでフツーのファンで(^^;)、むしろ原作漫画の熱烈なファンであり、クラシック音楽のミーハーファンでもあるので、のこのこ出向いたわけですが、しかし感動しました。おもしろかったです。
 音楽同様、朗読台本もアニメ準拠で、アニメはアニメで名作なのですが私はやはり原作漫画こそ至高、と考えている派なので、そこはちょっとアレレ、とは感じました。
 でも、なんせかいちゃんが熱演なワケですよ! 地の文は端正に読み、オスカルとアンドレ、アントワネット、フェルゼンに扮して言う台詞は熱くエモーショナルで、声優としてのテクニックの爆発力はもちろん、当人の解釈の深さや熱さ、こだわりがビンビンに感じられ、アクションもついて、こちらもまあ胸を鷲づかみにされ揺さぶられまくりました。
 また、照明の演出もよかったです。単に演奏と朗読が交互、とかではなく、重なる部分もあり、演奏の間はかいちゃんへのスポットライトは落ちていて…ってだけでもないのです。暗い中語ったり、明るく照らされていてもただ音楽に浸っているだけだったり…バックライトが点灯してシルエットになったときは、あまりの美しさに「絵か? 絵なのか!?」と動揺しましたよね…そうそう、またお洋服が白の三つ揃えのスーツで、ジャケットの丈は長くて襟元はフリルのリボンで、ホントどこの王子さまですか!?って感じなんですよ。もーファンの方の安否を案じちゃいましたよね…カッコよすぎてつらい、なんてしんどい嬉しさでしょうね……
 もちろん音楽も荘厳で素晴らしかったです。てか「アバンタイトル」って名前になっていましたが、アニメで各話のサブタイトルが出るときに流れるキャッチBGから始まったので、私はもうニヤついてたまりませんでした。コレ、『ガンダム』とかでもやりません? クラシックファンって男性の方が多いんだろうし、私もサントラまで聞き込んでいるので『ガンダム』でやられたらもっともっとニマニマでしょう…!
 劇伴だけでなくボッケリーニやバッハの「メヌエット」、バルバートルの「ラ・マルセイエーズ」なんかも組み込まれていて、来てはみたけど実は『ベルばら』をタイトルくらいしか知らない、みたいな方も楽しめたのではないかと思いました。

 終演後に、昼にかいちゃんをナビゲーターとしてバッハ前後のオルガン曲で構成したコンサートを演奏したオルガニストの方と、今回の方とかいちゃんとで3人のトークショーもあり、これも楽しかったです。
 まずこのおふたりが師弟で、ともに兵庫県出身で、どうもかいちゃんないし宝塚歌劇について知らないではない感じだったのがよかったです。なんとなくこっち側感が醸し出されていて(笑)、でもそこにつっこみすぎることなくあくまでオルガンについて話すのもよかった。かいちゃんの素人ならではの質問もよかったし、その回答も的確で、聞いていておもしろくてためになりました。アーティストって口下手だったり話がおもしろくなかったりすることがままあるものだと私は思っているのですが(偏見ですかそうですか、すみません)、今回はそういうことがなくて、とても有意義でした。
 さっきまで演奏していたオルガニストさんが、お着替えしてきた気遣いも素晴らしいなと思いましたが、しばらく汗が引かない様子だったのもとても微笑ましかったです。というかものすごい重労働っぽいんですよね、オルガン演奏って。一時間たっぷり弾く、ってけっこう大変なことだったんじゃないでしょうか…また、黒衣の譜めくりらしき方がいるなとは気づいていましたが、オルガンのストップを操作するアシスタントさんだったとは勉強になりました。裏側で支えるスタッフさんももちろん、たくさんの方の手がかかってできている演奏、コンサートなんだな、と感動しましたね。やはりチケット代がお安すぎるのでは…
 楽しい夏休みのスタートとなりました。






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2 コメント

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オルガンベルばら (りよ)
2023-08-22 16:00:58
いつも楽しく読ませてもらってます、初コメントです。
こちらを読んでその気になってアーカイブを視聴しました。たぶん同様のコメントが届いているかと思いますが、映像はオルガン演奏をクローズアップで見ることができ、誠に興味深かったです。両足やアシスタントさんを使うことなど知ってましたがじっくり見たのは初めてで、改めて、とても難しそうだな、アシスタントさんもきっと演奏できる人なんだろうな、と思いました。
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コメントありがとうございました (りよさんへ)
2023-08-23 10:51:42
こちらきっかけ!嬉しいです!配信側に自慢したい(笑)。
トークショーの方で言ってましたが、アシスタントにももちろん技術が必要で、
プロ演奏者がアシスタントを務めることもあるそうで(先輩の演奏につく、とかかな?)自分で演奏するより緊張する、と言っていました。
配信のカメラワークについてはかいちゃんもすごくお勧めしていたので、
こだわりの編集になっていたのでしょうねー!
実は生では痛恨のキャラ名間違えがあったのですが、そこはきっと編集されているのでしょう…
かいちゃんはすぐ気づいて、まったく同じテンションで言い直してそのまま続けたんですよね、
プロ…!と震えました。

また読みにいらしてくださいませー!

●駒子●
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