駒子の備忘録

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『チャーリーはどこだ!』

2024年04月27日 | 観劇記/タイトルた行
 日本青年館ホール、2024年4月22日18時(初日)。

 英国名門校オックスフォード大学で、卒業を間近に控えたチャーリー(林翔太)とジャック(室龍太)。ふたりは仲良しのルームメイトであり、愛するエイミー(蘭乃はな)とキティ(敷村珠夕)を迎えてのランチを計画。だが時はビクトリア朝末期、独身の男女が立会人なしに同席することは許されない。折良くやってくるチャーリーの叔母ドナ(彩乃かなみ)に期待をかけたが、彼女は現れず…
 作/ジョージ・アボット、作曲/フランク・レッサー、演出/中屋敷法仁、上演台本/勝田安彦、訳詞/山内あゆ子、音楽監督・編曲/栗山梢。1948年ブロードウェイ初演のロマンチックラブコメディ。全2幕。

 蘭ちゃんとミホコが出るブロードウェイ・ミュージカルで中屋敷さんの演出か、ジャニーズ案件だけど行ってみるか…くらいの気持ちで出かけてきました。
 要するに叔母が来ないのでチャーリーが女装して叔母の振りをし、ガールフレンドたちと会うことになるのだが…というだけの、それでオチまでわかるようなたわいないお話なのですが、みんな可愛いし楽しかったのでまあいいか、という仕上がりでしたかね。ただもうちょっと小さいハコでほっこりやるのがよかったかもしれません。また、セット(美術/古謝里沙)はキッチュに見えるかはたまたチープに感じるか、感想は人によるかもしれません…
 あとは、プログラムによればチャーリーは「好奇心旺盛で元気」、ジャックは「裕福で頑固」、エミリーは「優しく賢く礼儀正しい」、キティは「正直」とされていますが、そんなキャラ立ちはまったくしていなかったので、もっと脚本に手を入れて、それに添った芝居をさせないと役者たちもやりづらかろうよ…とは思いました。
 女子ふたりはタッパも違うし、私は蘭ちゃんのファンだから「じゃない方」との見分けもつくけれど、男子はマジでニコイチに見えて、お衣装の色が違うのと、片方がちょいちょい「叔母」の女装をしに行くから見分けがつく…というレベルでした。これではちょっと困ってしまうと思います。それに、ジャニーズ案件で基本的にファンが観るものだから主役に好感を持って当然、とされているのかもしれませんが、普通の観客にとっては役がキャラ立ちしてないと好感も何もないので、これはやはり演出にもっと手を入れてくれないと…と感じましたね。
 また、これは蘭ちゃんの役作りなのか、むしろエイミーはちょっとすっとんきょうで、キティの方がリリカル・ロマンス・ヒロインになっていて、その差異はいいなと感じたんですが、これはたまたまなんですかね? そのあたりも、もっと仕事してくださいよ演出…とは思ったかな。こんなたわいないロマコメにもいちいち注文つけて申し訳ございませんが…でももっとウェルメイドなものを目指していいと思うので、そこはがんばっていただきたいのです。

ロジャース/ハート』でも良かった林くんはさすがの座長っぷりでした。対してこれが二度目のミュージカルだという室くんは歌唱がまだまだで、残念でしたね。ダンスはいい感じに見えましたが…
 蘭ちゃんも歌は健闘、というレベルで、もちろん現役時代よりは良くなっていたけれど、ややもの足りなかったかな…ただし芝居と座持ちと華が抜群だったので、それはやはり実力だなあ、と思いました。私は『バイ・バイ・バーディー』でも観ているらしい、けれど記憶がない敷村さんは素晴らしかったです! さすがコゼット女優!! まさしくひばりのような歌声でしたよ…!
 もちろんミホコは素晴らしく、壮麻さんとのデュエットはもうオペラのようでした。福田転球も塩梅がちょうど良くて、こういう役があくどすぎたりかわいそうすぎたりすると全体に居心地悪くなると思うんですけれど、ちょうどいいコミカルさでさすがだと思いました。
 プログラムにある、「恋をする純粋な気持ちが肯定的に描かれ、その甘さ、爽やかさ、愚かさが豊かな楽曲で綴られていく。まさに王道!」「そのストレートさに驚かされる」「ミュージカルの本質的な喜びがダイレクトに感じられる」というのは、そのとおりかなと思えました。休憩なし2時間にまとめられなくもない気もしましたが…でもまあ、楽しかったのでいいです。
 大阪公演もどうぞご安全に…






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