駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

『あなたの初恋探します』

2022年04月09日 | 観劇記/タイトルあ行
 浅草九劇、2022年4月7日19時。

 何をやってもついておらず、とうとう会社をクビになり、一念発起で初恋の相手を探す「初恋探し株式会社」を立ち上げた青年(この日は佐奈宏紀)。その会社にやってきた第一号の客は、こちらもまた会社を辞め岐路に立つ女性(この日は愛加あゆ)。初恋を忘れられないという彼女だが、相手の手がかりはキム・ジョンウクという名前だけで…
 脚本・作詞/チャン・ユジョン、作曲/キム・ヘスン。演出/豊田めぐみ、上演台本・訳詞/藤倉梓、音楽監督/堀倉彰、振付/港ゆりか。2006年韓国初演、原題は『キム・ジョンウク探し』。2016年の日本初演もこのタイトルだった。17年、18年にも上演。全1幕。

 以前のバージョンとは青年の名前も女性の名前も何故か違っているんですね。でも、ふたり以外の20ほどの役すべてを演じるマルチマン(平野良)との3人芝居、というのは同じです。いかにもテハンノ・ミュージカルという感じの作品でした。
 キム・ジョンウクというのはいうなれば山田太郎みたいな、ごく一般的な男性名、というイメージのものだそうです。
 ミュージカルとしてはとにかくマルチマンの存在と3人でやるミニマムな芝居、ということに意義がある作品だと思います。ユナが何故キム・ジョンウクの身分証を持っていたのかとか、そこからどう再会の運びになったのかとか、お話としては細かいところがよくわからなかったりもしたのですが、そのあたりはスルーとされているようだったので。要するに運命的な初恋なるものにこだわっていたユナだけれど、実はビョンソンとも過去に出会っていた運命の相手だったんだよ…ってのがミソなんでしょうけれど(そしてジョンウクとビョンソンを同じ役者が演じている)、まあ韓ドラあるあるなんだけどちょっとなんだかなあ…と私は思わなくはなかったのでした。まあ深いこと考えずに楽しめよ、ってのはわかるんですけどね。あゆっちは可愛かったし。
 でもなんかリピーターが多い公演だったのか、ハナから歌に手拍子が入り、でもノリは良くともキャラの心情や状況を歌うもので歌詞が聞こえないと話がわからなくなっちゃうものだったので、単に一緒にノって盛り上げて楽しむ歌っていうのとは違うんじゃないの?と私は鼻白んでしまい、結果ノリきれなかったというのはあるかもしれません。
 あと狭いハコなのはそれなりの良さもあっていいんだけれど照明が足りていないなと感じたのと、この数の席を区切りなく一列に並べるのは無理があると思う。6、4で区切って通路を作るべきでしょう。観客に負担を強いすぎています。駅からも遠いし、三度ほど来たけどもうよほどのことがない限りこのハコなら観劇を見合わせようと考えそうだな、と思ってしまいました。
 ユナの鞄にバッグハンガーがチャームとして常についていたり、氷を入れて使う保冷枕みたいなものが日本のものでなくちゃんと韓国仕様だったのがよかったです。あゆっちは最初のお衣装が股上が深いデニムもジャケットのフォルムもなんか変で可愛くなくてしょんぼりしましたが、その後のお衣装はよかったかな。ホント痩せたよねえ、心配なくらいです。でも歌も演技もとてもしっかりしていてチャーミングで、素敵でした。




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