小田急線・世田谷代田駅から徒歩五分、築ウン十年。安普請だが、人肌のぬくもりと、心地よいつながりがあるアパートを舞台にした連作短編集。
著者は1976年生まれで、少女漫画やサブカルチャーにもくわしく、一方的に同世代作家として親近感を感じています。エッセイとか楽しいし、新刊を見つけたらたいてい買って読んでいます。
しかし、時々、そんな親近感を持つなんておこがましいな、と打ちのめされることがあります。
同世代の人、同じような趣味な人、もしかしたら自分だってこれくらい…というような思い上がりを叩き壊される。
それくらいのもの話を、きちんと書いてみせる人です、この作家は。
アパートが舞台で、住人やその周囲の人々に視点を替えていく連作短編集で、ちょっと人情もので…なんて、だいたい想像がつくじゃないですか。
しかしこの作品はそんな簡単なものではない。
まず、各短編の主題が、ずばりセックスと言ってもいい、というところが違う。
人生を描こうとしているので、必然的に…と言ってもいいですが、何かをごまかしている気がします。
もっと、そのものずばり、住人やその周辺の人間にとって大事で大切なセックス、をテーマにしています。
で、それが、深い。
赤裸々だったり実も蓋もなかったりするし、オチもなかったりしますが、とにかくどれも深い。
ことに『心身』なんて、そう簡単に書けない話だと私は思う。
同世代の、女性の、ちょっと筆が立つ程度の人では書けない、本物の作家でないと書けない話だと私は思いました。
重い、のではなく。
むしろユーモアは全編に漂っているのですが。
うん、おもしろく、一字一句おろそかにせず、読んでしまいました。
著者は1976年生まれで、少女漫画やサブカルチャーにもくわしく、一方的に同世代作家として親近感を感じています。エッセイとか楽しいし、新刊を見つけたらたいてい買って読んでいます。
しかし、時々、そんな親近感を持つなんておこがましいな、と打ちのめされることがあります。
同世代の人、同じような趣味な人、もしかしたら自分だってこれくらい…というような思い上がりを叩き壊される。
それくらいのもの話を、きちんと書いてみせる人です、この作家は。
アパートが舞台で、住人やその周囲の人々に視点を替えていく連作短編集で、ちょっと人情もので…なんて、だいたい想像がつくじゃないですか。
しかしこの作品はそんな簡単なものではない。
まず、各短編の主題が、ずばりセックスと言ってもいい、というところが違う。
人生を描こうとしているので、必然的に…と言ってもいいですが、何かをごまかしている気がします。
もっと、そのものずばり、住人やその周辺の人間にとって大事で大切なセックス、をテーマにしています。
で、それが、深い。
赤裸々だったり実も蓋もなかったりするし、オチもなかったりしますが、とにかくどれも深い。
ことに『心身』なんて、そう簡単に書けない話だと私は思う。
同世代の、女性の、ちょっと筆が立つ程度の人では書けない、本物の作家でないと書けない話だと私は思いました。
重い、のではなく。
むしろユーモアは全編に漂っているのですが。
うん、おもしろく、一字一句おろそかにせず、読んでしまいました。