映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

クライム・オブ・パッション(1984年)

2016-02-08 | 【く】



 ジョアナ(キャスリーン・ターナー)は、昼間は有能なデザイナー、夜はチャイナブルーと名乗る娼婦。ある日、ジョアナは企業スパイではないかと上司に勝手に疑われ、その上司がジョアナの身辺を探るべく、ボビーという男性を探偵として雇う。

 そのボビーは、セックス嫌いの妻との夫婦関係に行き詰まりを感じていた。そして、ジョアナの夜の顔を知り興味を抱いて、チャイナブルーに迫る。そして2人は、、、。

 ケン・ラッセル監督作品。相当ヘンな映画だけれど、何と、90年にTV地上波のしかもゴールデンタイム「日曜洋画劇場」で放映されていた! よく放映したよなぁ。90年はまだギリギリ、TVも元気だったんだね。
  

  
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 ケン・ラッセル監督作&キャスリーン・ターナー主演ということで心積もりをして見たのですが、割とフツーでした。

 チャイナブルーは、コスプレ娼婦で、客の求めに応じて演じ分ける凄腕です。コトが終わった後もあっけらかんとしています。ほとんど予備知識なく見たので、一体どういう方向へ話が進むのか、、、と思っていたら。

 結局、ジョアナは、昼と夜と2つの顔を持つ女として、やはり心に深い闇というか、大きな空洞を抱えていて、ボビーと出会ったことで、ようやく愛を知る、みたいな展開なんで、ストーリーだけ見れば、実にありがちな娼婦物語でした。

 ただ、まあ、そこはケン・ラッセル、フツーの話をフツーには描かない。

 チャイナブルーを付け回す(ニセ?)牧師のピーター(アンソニー・パーキンス)がいるんですが、チャイナブルーに娼婦を辞めさせようとする=救おうとする、わけです。でもね、実は、コイツが牧師面して“ド”のつく変態でして。どのくらい変態かというと、いわゆるダッチワイフを切り刻んで(しかも血みたいな赤い液体がドバーッと出てくるという、、、悪趣味極まりないんだ、これが)一人SMに興じている、というくらいの変態です。おまけに、小道具持ち歩いていて、そのうちの1つが、先の尖ったバイブレータ、、、。モノも斬れるような鋭さ。見ているだけで痛い、

 正直、このピーターの存在意義がイマイチよく分からないんですが。ただの変態映画のためのキャラなのか。それとも、幻想を求める世の殿方のカリカチュアなのか。はたまた、聖職者の揶揄なのか。まあ、ケン・ラッセルなので、3番目かな、、、という気もしますけれども、分かりません。ラストのためだけにいるような、、、。

 ボビーとセックス嫌いの妻の、冷え切った夫婦関係を描いている部分なんかは、もの凄くフツーの映画っぽいです。ボビーがパーティーで非常に下品な出し物を演じて場を白けさせるシーンがあるけれど、まあ、でもそれもご愛嬌でしょう。

 夫婦でセックスに対して温度差があるのは、なかなかツラいだろうなぁ。ボビーの気持ちも分かるし、妻の気持ちも分かる。拒絶されれば哀しいし、でももうメンドクサイし、、、って感じかな。結構、マジメに描かれています、この辺は。

 さらに、ジョアナの苦しみも真っ当に描いています。チャイナブルーはチャイナブルーの苦しみがあったんだけれども、ボビーとイイ感じになったら今度は、それがジョアナにとっての苦しみになってしまう。、、、そう、人を好きになるってことは、苦しみなのですよ。ウキウキルンルンなんて、恋している時だけ。そういうところも、マジメに描かれています。

 というわけで、ケン・ラッセルだからって構えて見始めた割には、何だかフツーな作品で拍子抜けでした。強いて言えば、終盤ですね、印象的なシーンは。アンソニー・パーキンスが、遂にブチ切れて、あの尖ったバイブでチャイナブルーに襲い掛かります。そして、最後は、なぜかピーターがチャイナブルーの格好をして、尖ったバイブをジョアナに突き立てられて死ぬという、、、。ジョアナ自ら、チャイナブルーを葬った、ということでしょうか。

 まぁ、楽しめますけれども、あんまし人にはオススメできないです、、、トホホ。

 
 





キャスリーン・ターナーの魅力(?)全開です。




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