





博物館で見かけた美女・小山田静子と、偶然、街中で再会した探偵小説家・寒川は、静子から深刻な相談を受けることに。それは、寒川が軽蔑している同業の探偵小説家・大江春泥なる男に静子が脅迫されている、というものだった。
静子にイカレてしまった寒川は、一件を解決すると請け合うが、、、、。
江戸川乱歩の「陰獣」原作の映画化。ま、雰囲気は良いんじゃないかしらん。
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原作は何度か読んでいるけれども、最後に読んだのは一体いつか思い出せないほど遠い昔で、当然、話の内容も漠然としか記憶にない・・・。そこで、数年前(いや10年以上前か)光文社が凄い頑張って出した「江戸川乱歩全集」の第3巻「陰獣」(この巻の初版は2005年でした)を引っ張り出してきて読んでみようと思ったんだけれど、そう、この全集には、著者による自作解説ってのが、しかもあちこちに掲載されたものをできるだけかき集めて載せてくれていて、そっちを読んでみました。
乱歩自身は、大江春泥が自分、寒川は、甲賀三郎をモデルにしたらしい。そこで乱歩が面白いのは、自分が女だったらどうなんだ? という発想でもってこの話を展開させたところですね。静子と寒川の濃厚絡みシーンもある本作、乱歩自身、自作解説で別に甲賀三郎に同性愛など感じたことはない、と、くどくど書いております。まあ、乱歩にゲイの気はないと、私は思っているけれど、こればっかりはねぇ、分かりません。どっちでも良いし。
でもって、本作ですが、原作のどことなく妖しい感じというのは、まあまあ出ているのではないでしょうか。雰囲気はなかなかです。静子を演じる香山美子は、当然ながら素晴らしい美女な上、匂い立つような色気。ありゃ、寒川じゃなくても男ならちょっとクラッと来るでしょう。
割と、原作に忠実に作られているっぽいですが、後半は倒錯世界が全開です。前半、かろうじて保っていた品性のバランスが、雨の降る中、寒川が大江春泥の正体を推理し静子に聴かせるシーン以降、一気に雰囲気が変わり、倒錯というか、はじけちゃった感じですね。ま、私はこういうの大好物なんで、十分楽しみましたけれど。
香山さん演じる静子も、最初は遠慮がちに寒川と絡んでいるのですが、後半はもう、まさしくSMショーで。官能的なんかでは全くなく、香山さんの色気も吹っ飛び、もうただ苦笑するしかないというか、、、。ま、原作の静子がそういうキャラなんですが。ある意味、香山さんだから見れる作品に仕上がったのだとも感じます。色気はあるけれど、あんまし生々しくない、というかね。裸体も凄くキレイではあるけれど、そんなにグラマーでもないし。
あおい輝彦がね、ちょっと香山さんに対しては力量不足ですね。完全に負けています。若いのでそれなりにカッコイイですが、、、。どうも知性と色気が足りん。
ま、乱歩好きとしては、映像化された乱歩作品ってのは、正直、見るのが勇気いるんですよね。昔、土曜ワイド劇場でやっていた「美女シリーズ」くらいぶっ飛んでくれていれば、見ている方も割り切れるので、それはそれで面白いんですが、ヘンに狙った映画とか、もういたたまれなくて見てらんない、って作品、ありますもんね。あとは、ただただ下劣なグロとかね。どれとは書きませんが。
乱歩の作品は、探偵小説(推理小説)なのに結構、穴が多くて、読み終わって釈然としないものは少なくないし、「陰獣」も原作は確かそうだったと思うけれども、本作でももちろん、野際陽子は何だったんだよ、とか、小山田六郎の死体をどうやって運んだんだよ、とか、粗がありまくりですけれども、まあ、そんなことどーでもいいよね、この作品はさ! と思えるのが、乱歩モノの特徴もあります。
とかグダグダ書いていたら「美女シリーズ」を見たくなってきてしまった。「氷柱の美女」だけは、数年前に再見したんだけれども、子どもの頃テレビで見た時は結構怖かったのに、大人になってみると、いや~、さすが土ワイです。よくぞやってくれました、と拍手を送りたい気持ちになりました。他の作品も、親には見るなと言われながらも盗み見していたので結構記憶にありまして、是非、再見してみたいものです。ツタヤで借りられるみたいだから、見てみよう!
倒錯世界の描写は、50点くらいかなぁ。
でも、美しい香山さんは一見の価値あり。
でも、美しい香山さんは一見の価値あり。
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