以下、公式HPよりストーリーのコピペです。
=====ここから。
ベルトラン(ギャスパー・ウリエル)は他人の戯曲を盗んで発表し、一躍成功を掴んだ。しかし2作目を期待されるがペンは進まず、パトロンから矢の催促を受ける。
ベルトランが執筆のための別荘に着くと、吹雪で立ち往生した男女が窓ガラスを割って家の中に入り、くつろいでいた。ベルトランは文句を言おうと、バスタブに浸かっていた娼婦エヴァ(イザベル・ユペール)に近寄るが、一瞬で彼女に心を奪われる。次作の題材という名目でエヴァに近づくが、冷たくあしらわれる。
思うようにならない関係に苛立ちを募らせると、周囲の人間を巻き込み、官能と破滅の道に向かっていく……。
=====ここまで。
このあらすじは、、、正しいのか??
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毎日暑くてゲンナリ、、、。正直、映画を見に行くのさえ面倒くさく感じるほどの暑さでウンザリ。私は、寒いのは割と平気だけど、暑いのは本当に、ホントウに、ほんっとにダメなんです。職場の人に“白くま”と呼ばれております。そんな白くまが、敢えて劇場に足を運んでまで本作を見に行ったのは、そらなんつったって、主演がユペール様だからですよ。しかも、娼婦役で、予告編を見たら、「謎の娼婦“エヴァ”」とか「彼女は男を破滅させる」とかの宣伝文句が出てくるし、何せ、タイトルに付いているキャッチコピーが「官能と誘惑」「すべての男たちが、この女に狂わされる」とかって煽っているので、どらどら、どんな映画だろ、、、、とユペールが好きなら思うわけよ。相手はギャスパー・ウリエルだしね。
が、しかし……。白くまは、暑さを克服できぬまま、うなだれて帰ってきたのでした、、、ごーん。
◆キャッチコピーに偽りあり。
時々、、、というか、割としょっちゅう、作品のキャッチコピーがあまりにもズレまくっているのではないか、と疑問に思うことがある。本作もそう。フランスでどんなキャッチコピーが付いたのか知らんが、一体、エヴァのどこが、“謎の娼婦”で、本作のどこが“官能と誘惑”で、誰がエヴァに“狂わされ”ているというのだ??? まったくのトンチンカンもいいとこだろ。
……と、私はこの映画を見ながら、途中で思ったわけよ。だって、別にエヴァに謎なんてないし、誰も官能を体現などしていない上に誘惑などもしていない。まして、ベルトランが破滅したのはエヴァのせいではなく、彼が盗作したからであり、完全なる自業自得で、本作のどこにもサスペンス色などなかったから。……はぁ? ともやもやを抱いたまま劇場を後にした。そして、パンフを開くと、目に飛び込んできたのが「ファム・ファタールという男の幻想」と題して仏文学者の鹿島茂氏が書いていたコラム。コレを読んで、私のもやもやは一気に晴れた。
もう、このコラムが本作の全てを語っており、これ以上、私が駄文を書く必要などないとさえ思える。けれども、ちょこっと駄を承知で感想を書いてしまう。
以下、ネタバレなんでよろしくお願いします。
つまり、鹿島氏は「エヴァに謎はない。それは、ベルトランの主観を排して、客観的にエヴァの言動を検討してみれば即座に明らかになることである」と書いている。そうなのよ。観客は、客観的にエヴァを見ているから、このキャッチコピーがトンチンカンに思えるわけ。そして、じゃあ、何でベルトランはそんな“謎のない”エヴァを謎めいた女と感じたのか。鹿島氏はこう断ずる。
「ベルトランの未熟さ、いいかえれば作家ではなく、「盗作家」であることからくる眼力のなさゆえなのだ」
、、、、、もうね、これ以上ないっていう解説。
そう、ベルトランは、そもそもバカなのであります。それも、可愛げのあるバカとか、共感できるバカではなく、もう、同情の余地の全くない、イライラして怒りさえ覚える“真正バカ”ってヤツ。何でこんなバカに、婚約者のカロリーヌが執着しているのかさっぱり分からん、と、恋は盲目とは言うものの彼女までバカに見えて困ってしまった。しかも、彼女はベルトランのバカさ故に死んでしまうしね、、、。浮かばれないったらありゃしない。こういう真正バカにだけは惚れてはいかん。
冒頭、ベルトランが盗作に及ぶ過程が、結構長く描かれる。この長い描写が鍵だろう。ここで、ベルトランは、作家として、自らの内面と向き合わなければならない、という苦労をすっ飛ばしたばかりに、自らの内面から物語を創出することができない、致命的な“作家”になっちまったわけだ。もちろん、そもそも作家になる能力や才能があったかどうかは分からない。分からないが、デビュー作でこれをやっちまったら、次作以降、自らの内面と向き合うなどという苦行ができるわけがない。
私がベルトランだったら、デビュー作が売れたとしても「これはたまたま良いアイデアが思い付いただけだから」とか何とか言ってごまかし、職業作家になどなる気はありません、と宣言して雲隠れするなぁ、、、と思った。そうすれば、盗作自体もバレなかった可能性が高いし、美味しい思いだけして、後はテキトーに生きていったって良いのだから。もともと、ベルトランが作家になりたかったのかどうかさえ分からないが、本作を見る限り、作家志望だったようには思えなかった。それならばなおのこと、一発屋の称号を自ら掲げて、後は悠々自適でいいじゃないの、と思うんだけど。
大体、自分が盗作以上の次作を書けるか否か、なんて自分が一番よく分かるってものでしょう。ベルトランは、だからバカなんだよ。分かっていなければ本物のバカだし、分かっていても作家を続けようと思ったのならば、もちろんこっちも本物のバカだ。
◆ユペール主演だから、、、
……というわけで、ユペールの謎の娼婦っぷりを堪能することは出来なかったけれども、相変わらず、ユペールらしさ全開で、それは大いに楽しめた。
彼女は、謎のある女としてエヴァを演じてはいないと感じる。娼婦としての身の上話で、彼女は、「夫は美術商」とベルトランに嘘をつくものの、それは謎を演出していたのではないだろう。夫が刑務所にいるとは言いたくなかっただけだ。彼女が偽っているのはそれくらいで、後は、別にベルトランに嘘はついていないし、娼婦なんだから敢えて多くを語らないのは当たり前だ。そういう、割り切った現実的な女性を、淡々と彼女は演じている。
娼婦に変身したときの、ブルネットのボブに真っ赤な唇、という顔が、何とも言えずイイ感じだ。御年65歳のユペールだが、若い女性とはまるで違う美しさがある。ある方のレビューをネットで拝読したが、「どう見てもお婆さんにしか見えない」と書いてあり、その方は恐らく男性だろうが、そういう風に見る人もいるんだなぁ、とビックリ。高齢の娼婦は実際にいるし、需要があるからいるわけで。まあ、見る人がどう受け止めようが自由と言えば自由だが、、、。別に、性的魅力や美しさというのは歳には関係ないというのは当たり前だけど、あのユペールのエヴァを見て「お婆さんにしか見えない」なんて、こう言っては失礼だが、ずいぶん人を見る目が幼稚なんだなぁ、と感じてしまう。ハッキリ言ってベルトラン以下だよねぇ、残念ながら。
ウリ坊は、ん~~~、彼に責任はないと思うが、あまりパッとしていない感じだった。とにかく、バカすぎるベルトランで、ウリ坊の魅力があまり感じられないキャラだったってのも大きいかも。
大体、あらすじにある、「次作の題材という名目でエヴァに近づくが」ってあるけど、名目じゃなくて、まさに題材のため、それが目的そのものだったんじゃない? ベルトランは、次作をせっつかれて焦っていて、これはネタに使えそう! と思ったのであって、そら少しはエヴァにセクシャルな魅力を感じたかも知らんが、ただただ次作のネタが出てこないか、それを期待してエヴァに会っていたようにしか、私には見えなかった。
だから、「官能と破滅の道に向かっていく」なんて、大嘘だろう、と思っちゃう。ベルトランは、盗作した時点で破滅の道を自らまっしぐらに走り始めたのであって、その途中、たまたまエヴァに出会っただけのことだ。ただ、それだけ。
だから、ベルトランとエヴァの関係はあくまで一方通行であり、それが証拠に、あのラストシーンなのではないか、と思うのだが、、、。
……と、文句を一杯書いてきたけど、それは宣伝のキャッチコピーとあらすじの書き方に対してであって、本作自体は、あんまし世間の評価は高くないみたいだけど、私はそこそこ面白かったと思うわ。主演がユペールでなければ、そうは思えなかったかも、だけど。というか、そもそも劇場に見に行っていなかったと思うけど。
エヴァが商売しているお屋敷がスゴい!!
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先日、ジャンヌ・モロー版「エヴァの匂い」をDVDで観ましたよ。
ジャンヌ・モローがエヴァを演じた年齢は34歳くらい。それを思うとユペりん、すごな・・・!!!
でも、「エヴァの匂い」のジャンヌ・モローも謎めいた娼婦を多面的に演じていて興味深かったです。
こちらは徹底的に男を破滅させてました。
ファッションも見所でとてもおしゃれに仕上がってましたしね♪
たけ子姉さんもご無事でよかったですね・・・。
とにかく、不安のない平穏な日常を求めますね・・。
暑さが怖いと思う夏は初めてです・・。
ところで映画館は混んでました??
ご心配おかけしました。こうしてまたこちらにお邪魔できて、幸せをかみしめております。
エヴァ!イザベル・ユペール主演作、しかもギャスパー・ウリエル共演とくれば、よほどのことがない限り観逃せません。ユペールの熟女娼婦っぷり、楽しみ。彼女とウリ坊って、マルグリット・デュラス原作の「太平洋の防波堤」という映画では母子役だったので、禁断な感じもそそられます。
フキンさん、ご心配いたみいります。心ふさぎがちだけど、皆さんの映画のお話には元気づけられます!エヴァの匂いも観たいです!
エヴァの匂い、この映画を見て見たくなりました。ジャンヌ・モローのエヴァ、凄みがありそう!
ユペりんのエヴァは、仕事に徹したプロで、客を破滅させる意図は全くない感じでしたねぇ、、、。そういう、淡々としたところがユペール様にピッタリだと、私は思いました。
劇場は、サービスデーだったけれど、7割くらいでしたかねぇ、お客さんの入りは。男性が意外に多かったです。女性向けの作品かな、と思っていたのですけど。
たけ子さんがご無事で、私もホッとしました。
日本はホントに災害の多い国だと改めて身に沁みます。
酷暑が続きますが、何とか乗り切りませう!
たけ子さん、お久です!
コメ、ありがとうございます。ご無事で何よりです。
今回の災害は、東京にいる私にもショッキングでした。
亡くなった方も多いし、まだ行方不明の方も。
避難生活や復旧作業の様子などTVで見ると、無力感しか覚えません。
カープが好調なのが救いです(今日は負けちゃったケド、、、)。
とにかく、たけ子さんもご自身の心のケアお忘れなきよう、、、。結構、自分の心のことって無自覚ですから。
ユペりんのエヴァも、是非ご覧くださいまし。また、感想お聞かせくださいね! 楽しみにしています。