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「四国お遍路まんだら」、熱烈な読者と会う

(散歩の途中で、日差しがずいぶん暖かくなった)

夕方、女房の弟の嫁さんから、今居酒屋に夫婦で来ているのだが、姉さんと出て来れないか。義弟の同級生で「四国お遍路まんだら」の読者がいて、熱く語って是非著者に会いたいと言っているという。電話で呼ばれて居酒屋へ行くという習慣は、下戸の私の人生にはかつてないことである。それでも熱烈な読者と言われると断るわけにはいかない。

車で送るという女房と出かけると、酒屋の裏が居酒屋になった狭い店に、三十人余の客で満員の盛況であった。日曜日の午後5時頃の話である。坐るつもりが無かった女房もつかまって、義妹の隣りへ座った。

義弟の同級生の、整体師のSさんは会えて感激ですと大げさに握手をしてくる。義弟の紹介では「四国お遍路まんだら」を読んで、お遍路に出かけたという。仕事を抱えているから、年に一国ずつ四年計画で、車でお遍路をし始めたと話す。

この本は自分にとってはお遍路のバイブルだという。いつも座右に置いている。他の案内書が平面的な内容なのに、この本は立体的であるという。どういう意味かと聞くと、山登りではその厳しさ、苦しさが書かれていて、読んでいて遍路道の起伏が目に浮ぶという。

「マメ名人」やら「片肺さん」、「介護青年」など、自分が勝手に付けたニックネームの登場人物が、既知の共通の友人のように話題に飛び出してくる。どこにも創作部分は無いから、それぞれの人たちのその後も話題に出来る。壁を隔てた隣りの泊り客の繰り言が、気になって寝られなかった話には、自分も経験があるという。

1時間ほどがたちまち経った。Sさんは奥さんが迎えに来たと話し、一度ゆっくりとお話を聞きたいといい、再会を約して分かれた。

残った義弟夫婦と4人でしばらく話した。病院を定年退職した義弟は去年の春から街の調剤薬局のチェーン店に勤めている。薬剤師は薬に関することだけをこなせばよいけれども、それではつまらない。調剤薬局は病院と同様に心臓発作などで倒れる人が出る可能性は、他の場所よりもかなり高いと思われる。AEDは装備されているけれども、使用の訓練は年に1回やるかどうかで、事故があったときに上手に使えるかどうか、心もとない。心臓発作で倒れて心配停止になった人を想定して、毎週訓練することを提案し始めた。当初は、薬局がやるべきことかどうかと、批判的な人な人もいた。

始めてしばらく経ったときに、街でたまたま倒れている人に、年配の薬剤師が遭遇した。人は集っているが、誰も手を出す人がいない。訓練では、そばにいる人に、あなたは救急車を呼ぶ、あなたはAEDを借りてくる、あなたは私を手伝って、と迅速に指示をして、心臓マッサージを速やかに行うことを、人体模型を使って訓練していた。その通りに実施すると、心臓が動き出した。救急車を待つのではなくて、現場で出来ることを行うことで、命が助かる可能性が高まる。烏合の衆が集っても何も始まらない。誰かが自信を持って指示することで、ことが動き始める。その時はAEDは近くの歯医者さんから借りて来れた。

緊急時の対応として、一に心臓マッサージ、二にAED、三に救急車である。間に合う順序がそうなる。緊急時の対応として、人工呼吸は蘇生に余り効果がないと判ってきた。義弟はとにかく心臓マッサージを強くやることだという。あばらが折れても心臓が動けばあばら骨はつながる。

訓練通りに行って、人の命を助けることが出来た。これ以降、毎週行う心臓蘇生訓練に疑問を投げかける人はいなくなったという。
コメント ( 1 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (あーきさん)
2012-02-14 23:14:21
今年は閏年なので、逆さ遍路をすると縁起が良いと
されていて、逆さ遍路が人気のようです。

きのさんも試されてみては?
 
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