平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
「天明年中叓」を読む 13
萩の花は今時どこにでも咲いているが、花が細かくて、アップすると、ピントが合わせ難い。何度かチャレンジして、漸く少しは見られる写真になったか。
アップして ピントを合わせて 萩の花
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「天明年中叓」の解読を続ける。「主殿頭に申渡す趣」の項のつづき。
上様には、万事御倹約而已(のみ)にて、その身はじめ、家来の者どもまで、莫太(ばくだい)の奢(おご)りを極め候事、いかが心得候や。
附り 諸大名官位の儀は、天聴へ奏達もこれ有り候て、至って重き義に候処、金銀を以って賄賂を得(う)れば、容易に取持(とりも)ち、世話いたし候義これ有り。溜(たまり)の間席の儀は、御補佐(ほさ)役にて、時々取候ては、重き御政事にも相加(くわゝ)り候えば、家柄といえども、若年または行跡不正の人は、その用捨これ有るべきの処、賄賂候えば、その撰(えら)みも致さず候て、格別これ無き事。
※ 天聴(てんちょう)➜ 天子がお聞きになること。
※ 奏達(そうたつ)➜ 天皇に奏上して耳に入れること。
※ 溜の間(こうち)➜ 江戸城で、将軍の執務空間である「奥」に最も近く、臣下に与えられた最高の席。
※ 用捨(ようしゃ)➜ 取捨。採否。用いることと捨てること。
※ 撰み(えらみ)➜ 選ぶこと。
一 家柄の諸侯、金紋(きんもん)の儀、賄賂重きにて取り持ち、かれこれ取り繕ろい、願いの通り仰せ付けられ候上にて、又々指し留め候義、全くその方一存の取り計いにて、金銀に迷い候致し方、顕然(けんぜん)に候。
※ 金紋(きんもん)➜ 金箔・金漆で描いた家紋。江戸時代、大名が家格により挟み箱のふたに描くのを許された。
※ 顕然(けんぜん)➜ はっきりと現れるさま。 明らかなさま。
一 岸上の儀は、良蔭の清流、岩石の地にて、御先々代様は、御深慮にて、放し馬御取寄せ、厚く御世話遊ばされ候。御牧場繁昌の処、これまた山師どもより、賄賂金銀を以って、御為(ため)、御益(えき)と申す名目に、泥(なづ)む樹木を伐(き)出し候ゆえ、田蔭薄く、清流も涸れ候て、牧馬夥(おびただ)しく死失(ししつ)に及び候事。
※ 放し馬(はなしうま)➜ 放し飼いの馬。
※ 山師(やまし)➜ 山林の買付けや伐採を請け負う人。
※ 泥む(なづむ)➜ 進行がさまたげられる。とどこおる。
※ 死失(ししつ)➜ 死ぬこと。
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