平成18年に60歳を迎える。六十と縦に書くと傘に鍋蓋(亠)を載せた形である。で、「かさぶた(六十)日録」
かさぶた日録
「四戦紀聞」を読む 21
昨日、午後、フィールドワーク集合場所の掛川城三の丸広場から、何とか工夫をして、紅葉を取り込んだ、掛川城の写真を撮ってみた。
「四戦紀聞」も残す所、あと二日分ほどになった。この後は、いよいよ「甲陽軍鑑」の解読に取り掛かる。と言っても、今回はその一部、巻十一の下と、巻十二だけである。もちろん、先人が解読されたものが、溢れているだろうが、独自の解読にしたい。今年は甲陽軍鑑で年を越すことになる。
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「四戦紀聞」の解読を続ける。「遠州味方ヶ原戦記」の項の続き。
既にして山縣・馬場歎(たん)じて曰く、良将の下(もと)、弱兵なしと云う。古き詞(ことば)、今既に協(かな)えり。尋常(じんじょう)の敵、今日の如く敗北するに於いては、忽(たちま)ちに城を棄て逃亡せんか、或るは衆の心、区々(まちまち)になり、防戦するに及ぶべからず。未(いま)だ一時も過ぎざるに、玄黙口に於いての防戦、奇(き)なるかな。剰(あまつさ)え夜込(よご)みの體(てい)、旁(かたがた)以って、負けても侮(あなど)り難き敵なり。信玄平日、 徳川家の弓矢を称美し給うこと等閑(なおざり)ならず。誠に英将(えいしょう)の見給う所、宜(よろ)しきなりと云々。
※ 尋常(じんじょう)➜ りっぱなこと。すぐれていること。
※ 奇(き)➜ 珍しいこと。不思議なこと。
※ 夜込み(よごみ)➜ 夜、忍び入って敵地を攻めること。
※ 平日(へいじつ)➜ ふだん。平生。平素。。
※ 称美(しょうび)➜ ほめたたえること。賛美。
※ 等閑(なおざり)➜ いいかげんにしておくさま。本気でないさま。おろそか。
※ 英将(えいしょう)➜ すぐれた、軍隊を率い指揮する者。
翌廿三日、味方少々、城辺、名栗へ出る。この表、当日の圧(おさ)え番、穴山勢に、軽卒をして火砲を発す。敵、穂坂常陸忠文、同掃部、有住大学、駆け破らんと馬を進む。味方よりは玉継(たまつぎ)を助けて、頻りに鳥銃を発しければ、穴山が兵、遂に怺(こら)えず引き返しける故、味方の軍士、敵の先登(せんとう)して、死亡せる首七級を取りて、浜松城中へ帰る。松井忠次が長臣(ちょうしん)、岡田竹右衛門元次は、昨日、舎弟五味右兵衛元保、戦死す。その仇(あだ)を報ずると詈(ののし)り、この時首級を得たり。
※ 玉継(たまつぎ)➜ 次の発砲のための準備の時間を云うのであろう。
※ 先登(せんとう)➜ まっさきに敵の城に攻め入ること。一番乗り。さきがけ。
※ 長臣(ちょうしん)➜ 組織の中の長となる家臣。重臣。
(「遠州味方ヶ原戦記」つづく)
読書:「身過ぎの錐 口入屋用心棒23」 鈴木英治 著
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