goo

「武徳大成記」を読む 12

(散歩道の八重のサザンカと西洋アサガオ/昨日撮影)

渋柿18個1280円購入、加工した。なお先週の金曜日だったか、渋柿24個1350円購入加工したことを書き忘れていた。

********************

「武徳大成記」の解読を続ける。「神君、信玄と味方ヶ原に戦い給う事」の項の続き。

大久保忠世、旌旗(せいき)を賜うて、犀ヶ崖(さいががけ)に建て、敗兵を集む。甲州の兵、大将茲(ここ)に在りと、相争いて競い進みて、多く犀ヶ崖に堕(お)ちたり。忠世、頻(しきり)に島銃を発して撃ち、却(しりぞ)く。敵、なお麇(むらが)り至り、城を攻む。瀧川伊予守一益、塩屋口を禦(ふせ)ぐ。戸田三郎右衛門忠次、山手口に備う。渡辺半蔵守綱、弟半十郎政綱、大谷を経て退く。敵、前後に充満(じゅうまん)たり。
※ 旌旗(せいき)➜ はた。のぼり。軍旗。
※ 充満(じゅうまん)➜ 一定の空間などに、あるものがいっぱいにみちること。


渡辺半平貞綱、天野又作、左橋礼之助、勝善甚五兵衛、桜井庄之助もまた来たる。相共七人、力戦して敵を攘(はら)い、玄黙口より入りて、城門を固む。神君、鳥居彦右衛門元忠に命じて、この門を守らしむ。敵また来たり攻む。元忠、門を開きて健戦す。渡辺半蔵、先駆けして、敵を却(しりぞ)けること両回(ふたたび)、半十郎、庄之助首級を獲(と)ったり。夜に入りて、敵軍退(しりぞ)く。篝(かがり)を焼き、備えを厳しくして、(あした)に至る。吾が兵の刼(せま)り撃(う)たんことを恐れてなり。
※ 健戦(けんせん)➜ したたかに戦うこと。
※ 旦(あした)➜ あさ。あけがた。


神君、諸将を集めて守禦(しゅぎょ)の謀(はかりごと)を問う。大久保忠世、進み出て、かくの如き大敗、(い)すくみて、据(はたら)かざれば、いよ/\敵に凌(あなど)らるゝものなり。諸部の鉄砲を集めて、夜に見して、敵を刼(おびや)かさん。敵驚かば、就(つ)きて撃ち破らんと云う。神君許し給う。命じて、軍中銃手(じゅうしゅ)を集める。二百人に過ぎず。(或る云う、十六人)忠世及び天野三郎兵衛康景、近藤登之助秀用(ひでもち)など銃手を率いて。五更(ごこう)に犀ヶ崖に徃(ゆ)きて敵軍に発(はな)ち掛けたり。信玄驚いて曰く、勝(まさ)りても恐ろしき敵なり、とて、浜松を攻める謀(はかりごと)を止めたり。
 一説に曰く、甲州の諸将、勢に乗じて浜松城を攻めんと云う。高坂弾正、強いて諌(いさ)む。信玄これによって攻めずして去る。
※ 守禦(しゅぎょ)➜ ふせぎまもること。守って敵の侵入を防ぐこと。
※ 居すくむ(いすくむ)➜ 恐ろしさや寒さのあまり、身がすくんで動けなくなる。
※ 銃手(じゅうしゅ)➜ 銃の撃ち手。射撃手。
※ 五更(ごこう)➜ 五更の第五。およそ現在の午前三時から午前五時、または午前四時から午前六時頃にあたる。寅の刻。

(「神君、信玄と味方ヶ原に戦い給う事」の項、つづく)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )