カシメルマンはBARにおるんちゃうか

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「デパートの屋上」

2019年11月11日 | 昔回想
…その昔、百貨店(デパート)の屋上は遊園地になっていた。
近頃は芝生のテラスだったり、ビアガーデン用の椅子とテーブルが
並んでいたりするけど、昭和40年代は何処のデパートも
屋上には観覧車やゲームセンターがあったのだ。
ママやおかあちゃんに連れられて百貨店に行った時は子供だった自分達にとって
とにかく屋上遊園地が目当てだった。おかあちゃんの買い物に付き合っている
しりから屋上が気になってソワソワしていたくらいだ。
ひとしきり買い物が終わると遂に屋上タイム。
“↑R スカイパーク”と書かれた階段の踊り場の壁を見た時から
もう気分が舞い上がってしまう。

で、決まって必ずあったのはヒコーキや自動車なんかの独り乗りの
ぐいんぐいん動く乗物。走るんじゃないよ、小さい子供用の椅子が
一つ付いた、ヒコーキやパトカー等のデフォルメモデルが
台に生えた一本足の上に付いてて、マシンに10円いれると一定時間
その場でビミョウに前後に揺れ動くんだ。 …今考えると何が
面白かったんだろうね。2~3才くらいの子には面白かったんだろう。
自分もその頃は乗った気がする。“鉄腕アトム”や“パーマン”とかの
デザインもあったかな。

5~6才になるともう少ししっかりした造りの自動車がわりと広い
サーキット状の道を走る乗物に乗った。運転をミスっても道の真ん中に
ある溝と車体が棒で連結してるから絶対脱輪しない。
まぁハッキリ言うと運転しなくてもちゃんと走る(笑)。
周囲の町並みがハリボテになってて、結構リアルな信号機とか
置いてあってこれは子供ながらに気分が出て楽しかったなあ。
色々な動物に跨って動く、スピードが凄く遅いゴーカート、とも云うべき
乗物もあったな。これはちゃんとハンドル通りに動くんだけど
速度が歩くより遅い。一定のエリア内を自由に動けるんだけど
速度からしてまず事故る心配はなさそうだった。

更に小学校から中学校に進学するような歳ともなると、
専らゲームセンターが目当てになってくる。
でも今のような液晶画面の中で格闘戦とかじゃなくて、
当時はもっと物体的なものだった。そもそもコンピューターなんて無いんだもの。
“ゲームセンター”とも呼ばず、“プレイランド”みたいな表記だった。
何が“物体的”かって、例えば「ドライヴゲーム」にしたって
動かすのは模型の自動車だ。一応筐体なんだけど、画面じゃなくて
形態としてはガラスケースだ。上から覗くとその中が上下に流れる
ベルトコンベアーになってて、ベルト面にくねった道が描いてある。
手前側から飛び出した棒に支えられた1/20位の自動車の模型があって
それが道の上に載っかってるんだ。
ケースの外、手前に実物大のハンドルがあって、それを回すと模型自動車の
前輪がリアルに曲がって左右に曲がる仕組みになってる。要は有線リモコンだな。
でもハンドルだけでアクセルペダルもブレーキペダルもない。
つまりスピードは調整できないのだ(怖ええ!)。
20円入れるといきなりガクン!とベルトコンベアーが等速で動きだす。
慌ててハンドルを握って運転しようとするんだけど、何の抵抗も無い
プランぷらんのハンドルだし、何処の角度が直進なのか掴むのに
時間がかかり、道の上を走らせるのが結構難しい。
やっとハンドル操作と車の曲がり具合の関係を把握して
道の上を走らせられるようになったとたんに時間切れ、とか(^^;。
またプレイ時間中流れるBGMがなんとも人を小バカにしたような音楽で
なんか腹立つ。意地になってもう一回やる。
なんとか調子よく道に沿って走ると道の真ん中にある突起を車のセンサーが
読み取って得点出来る、というか奥側に立ったパネルに地図があり
その地図上の地名のランプが移動する。例えば〈大阪〉→〈京都〉
→〈名古屋〉とか…。「おお、名古屋まで行けたぞ」とか。
このゲームでよかったのは模型自動車の前輪の曲がり方が「サンダーバード」の
車輌のようにリアルでしかもちゃんとサスペンションまで利いている感じだったところ。
しかも支えた棒で位置を強制的に動かすのじゃなくてちゃんと
“前輪の切れ”で曲がっているところだった。
“物体的”とは今のようなデジタル処理された画像ではなく
模型等の物体がアナログ的に動くところなのだ。

しかし自分が本当に好きだったのは「魚雷ゲーム」だった。
実はこんな名前だったのかどうかも憶えていない。ネットでググッても
写真すらヒットしないのだ。もしかしたらそれは自分の妄想で、
そんなもの存在しなかったのかと思ってしまうが、いや確かにあった。
市販のおもちゃで「魚雷戦ゲーム」ってのはあったけど、
当然デパートの屋上のはすこぶる巨大な筐体だった。
大体幅が4~5メートル、高さ2メートル、奥行きも2メートルくらいあったのかな、
子供の記憶なのでアテにならないけど、とにかく他のゲーム機械に比べて
一番大きかったのは確かだ。前側の面から中が覗けるようになっていて
覗くと全体が海のジオラマ模型だった。海のうねりや波が固体で造形されていて
あちこち戦艦の模型が配置されており、奥の壁には空が描かれてて空中戦をしている
戦闘機や、撃墜されて黒い煙の尾を引いて墜落している絵もあった。
正に太平洋戦争の海戦のパノラマだ。こんなの、プラモ好きの自分にとっては
血湧き肉踊る程のものじゃないか。
手前に実物大くらいの潜望鏡が横に3つ4つ並んでいる。幅が大きいのは
多人数で出来るようになっているからだ。普通潜水艦には潜望鏡は一つなので
おかしいけど、3人で一つの大ジオラマを目の当たりにしてやるのだからそれは楽しい。
潜望鏡の脇の壁、ジオラマを覗く窓の下辺りには荒削りではあるけど
パイピングや計器らしきモールドがあって、子供ながらに潜水艦の
司令室にいる気分が味わえた。…で、潜望鏡を覗くと真っ暗。
お金を入れて初めて映像がみえるのだ。で、コレも20円だった。
入れるとカチャン!と黒幕が解除されてそのまま奥のジオラマが
見えるんだけどお決まりの照準器みたいなタテヨコのバッテンがあり
距離計測の目盛りも切ってある。「わあ、リアル!」。

どう遊ぶかというとジオラマ模型の一番奥、水平線の彼方にちっこい戦艦の
ミニチュアが右から左に列になってゆっくり動いている。よく見ると僅かに上下に
ビリビリ揺れるのでベルトコンベアーみたいなのに取り付けられているんだろう。
潜望鏡は左右に少し動かせるのでそのちっこい戦艦を狙って右手の握りの
根元にある赤いボタンを親指で押す。
すると手前から海のうねりの下を光りが奥へ向ってパパパパっと移動する。
つまりそれが魚雷だ。でも奥まで到達するのに3秒くらいかかるので
まんま戦艦に照準を合わせて発射しても戦艦の動きでズレて命中しない。
狙った標的の前方のどの辺りを狙うか、というのが醍醐味のようだ。
上手くタイミングを見計らって命中させると「ドーン!」という
鈍い音とともにちっこい戦艦の辺りが赤く照らされ、戦艦は一瞬で
海面下に下がる(笑)。「…沈むの早ええよ。木っ端微塵になったか!?」
でも今思うと何隻も同じ方向に移動してるのに、撃沈した艦だけが消えるのも
すごい仕掛けだ。魚雷の表現もリアルに思えて凄く楽しい。
でも5発くらい発射すると終わり、くらいの時間だった。20円の威力もここまでか。
…で、ジオラマ模型の手前にはガラスなんか無くて、手を伸ばすと海のうねりの
手前縁が触れた。でもレイアウトされた戦艦模型には流石に届かない。
あたりまえか、届いたらすぐパクられてるな。でもなんだか埃っぽい
ジオラマだったのを憶えてる。自分が遊びだした頃にはもう古い筐体だった
のかもしれない。でもコレが小さい頃遊んだゲームで一番萌えたヤツだったなあ。
あったのは梅田の阪急か阪神百貨店だ。他にコレをプレイしたことある人いる?

…他にもヘンな、と言うと失礼かもしれないけど、変ったのを見かけたなー。
さっきのドライヴゲーム方式で乗馬の障害物ゲーム、みたいなのとか。
ベルトコンベアーが今度は野原になってて手前から騎手が乗った馬の模型が
棒に支えられて出っ張ってる。プレイすると馬の足がカタカタ動いて、
奥からハードルが流れてきて、ジャンプするタイミングで大きなボタンを叩くと
飛び越えられるんだ。ひっかかるとハードルが倒れて減点、みたいな。
イマイチだったんでこれはあんまやらなかったな。

あと、思い出すのはスティックで操る戦車のゲーム。
筐体の上の面に四角い窓があり、覗くとこじんまりした戦場のジオラマ。
真ん中あたりにそうだなー大きさ的には1/72くらいの戦車がいる。
でジオラマの4方の壁にはそれぞれ4つずつくらい、敵の戦車の絵が描いてある
大き目の四角いボタンが並んでいるんだ。つまりボタンは周囲に16個くらいある。
プレイしてみるとその内の一個のボタンが光る。つまりはそこに敵戦車出現!
という意味だろう。…で、どうやって攻撃するのかというとスティックレバーを
倒した方向に戦車模型が動く。その戦車の主砲の砲身でその光ってるボタンを
押せ、というのだ。主砲を撃つんじゃないよ、ほぼ体当たり攻撃。
「そ、そんなの戦車の使い方じゃねーよぉ」と思ってしまう(笑)。
上手く戦車を誘導出来なくてまごまごしてると光は別のボタンに移動してしまい、
逃げられた、みたいな。光ってる間に上手く砲身で突くとボタンが凹んで得点。
でもこの状況だと自分が攻撃を受けることは無さそうだ。
四角い戦場で必死に光るボタンを追い掛け回す、という地味なゲームである。
これも2回くらいやったぐらいかな。

5年前、旧梅田阪神百貨店の取り壊し寸前時点で
屋上スカイパークの写真を撮りに行ったんだ。
曇りだったせいか人もまばらでなんだか寂しい感じだった。
その中にポツンと大きなドラえもんのロボットみたいなので、
後ろの穴から中に乗り込むと操縦席みたいになってて子供が
2人くらい座れるようになってる乗物があった。
大人が入るには窮屈で、椅子もちっこすぎて座れないけど
顔だけ突っ込んで雰囲気を楽しんでみた。…へんな奴(笑)。
そういえば同じシリーズで“ロボコン”とか“ガンダム”っぽいのもあったよな。
もう今の子供はPSPとかばっかやっててこんなのじゃ遊ばないんだよなー(--)。

(卓上のモデルは「海底大戦争」に登場の“スティングレーMk.3”)
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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2024-02-15 18:12:33
魚雷ゲーム・・・
検索してうたら辿り着きました。
昭和40年代、東京都足立区西新井のヨーカードーの屋上にもまったく同じものがありましたね。
まったく同じなので製造販売している業者がいて各地のスーパー、デパートの屋上にあったんでしょうね。
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おっと他にもありましたか! (カシメルマン)
2024-02-15 23:52:22
Unknownさん、コメントありがとうございます。
あ、そうですか。やはりワンオフでなく量産されて
いたのですかね。 かなり大きなものなので
そうもアチラこちらにあるモノではないと思います。
自分は大阪梅田の阪急百貨店で見たのみでした。
返信する

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