カシメルマンはBARにおるんちゃうか

≪スケールモデルからアニメキャラクターまで、
幅広い分野の模型製作を詳しく解説!≫
(小さい写真はクリックで拡大)

「ノストロモ号 製作工程(後編)」

2021年06月03日 | 製作日記「ノストロモ」
↓船体基本色を塗装していきます。
サフ吹きしておいてから、先ずはクレオス97番“灰色9号”を全体に塗装。
ベタ塗りなのでこれはもうスプレー缶でいっちゃいます。
その後パネルごとの濃い薄いをマスキングしながらエアブラシ塗装。
このおおまかな色強弱は大体プロップモデルのパターンをコピー。
境目がはっきりしてたり、グラデーションになってたりと色々。

↓更に細かい単位の変色部をつけて巨大感を表現。
これはプロップ写真で明確に判る所、見えなくて不明な所があるので
半分以上が自分のセンスである(左写真)。
3つのメインノズルの外周はやや焦げ茶ががった色だった(右写真)。

↓スス汚れ風の処理もかけたらかなり雰囲気が近くなる。
見た感じもう墨流しとか要らないんじゃないかと思うくらい。

↓“180286”の船体番号はHIQPARTSから発売されていた
“MCNデカール”を使用。でもちょうど貼る位置に邪魔なパイプモールドがあったので
削り飛ばした(左写真矢印)。…確かにこのモールド、写真によってあったり無かったりしていて
船体番号が付いた写真には無い。おそらく番号を付ける際に取ったかなにかだと思われる。

↓脱出艇ナルキッソス号を工作。
写真上方に写っているのは食玩のヤツ。
それに倣って同スケールのを2コ作った(矢印)。
黄色矢印のは前半分しかないが、これは格納庫の蓋がしまってる、
つまり後ろ半分が覆われた形の方に付けるためだ。

↓実際に配置するとこんな。
これは脱出直前、ナルキッソス号の後ろ半分を覆っていたカバーが開いた状態。
ノストロモ号を着陸した状態でディスプレイするつもりなのでホントはありえない
シチュエーションだけどな。写真無いけどもう一方(右舷側の方)はカバーが閉じている。

↓次に着陸状態のディスプレイなので惑星“LV-426”の地表面を工作。
3本足の範囲をカバーする不定形なプラ板の上に石粉ねんどで険しい地面を造形、
これも資料写真を参考に似たような雰囲気に。
岩とかはその辺の地道に転がってる小石を利用した。

↓かくしてこういう感じに出来上がった。
木製のデコパージュはいいサイズが見当たらなかったので単なる板材と
額縁の材料を組み合わせて作った。ネームプレートはPC出力である。

↓モデルを置くとやや前後がはみ出るものの、いい感じ。







↓最後にこんな部品を自作して着けた(矢印部)。
これは撮影プロップ写真で見かけたギミック操作用のコードである(笑)。
電飾なのか、ロケット噴射なのかは定かでないが、
“模型のモケイ”感があふれて笑えるだろうと…f(^^。

↓後に改めて映画本編を観たけど、宇宙船のシーンは殆ど真っ暗で
おおよそ細かいディテールなんて判らない。今回こんなに詳細な
形が作れたのはやっぱりあのレストア写真のお陰だったのだ。
ありがたや、ありがたや。

…で、倉庫から久しぶりに出した撮影用プロップモデルはその殆どが木製だった。
その表面にABS樹脂等のプラスチックを貼って細かいモールドが作ってあって、
永い年月でプラスチック部分は変質して変形したりはがれ落ちてしまい、
中の木材があちらこちらに露出していた。
アンテナ等の繊細な部分は勿論欠損していて何も無い。
まぁ本編見てもあんな状態なので映画製作時の写真から復元したらしい。
ご苦労さんである。

ここを覗いてくれた方の中にもし未組立のこのキットを所有している方が居られたら、
機会を作って是非とも組み立ててみてください(^0^)/。 まぁまぁメンドクサイけど。
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「ノストロモ号 製作工程(前編)」

2021年05月29日 | 製作日記「ノストロモ」
自分的にヒイキにしているSFメカの代表格は「SW」の“ミレニアムファルコン”と
「エイリアン」の“ノストロモ号”である、というのを以前記した覚えがありますが、
この2つについては無事過去にモケイ作品として製作することが出来ました。
しかし前者の製作工程は紹介しているものの後者は本ブログ開設直前の完成だった
(2013年9月)ため完成品写真の簡易な紹介しか出来ていませんでした。
このノストロモ号も詳細な製作過程の記録写真が残っていたのでここで短縮形で
紹介したいと思います。

キットはハルシオン/ツクダのソフトビニール製。スミマセン、パケの写真が残ってないです。
記憶の限りではこのアイテムのインジェクションキットは発売されていないと思います。
モデルの全長は30センチ以上あり、幅も20センチオーバーとかなりのボリューム。
このサイズでソフビ製となると先ず自重による経年変形が心配になってきますよね。
製作はこの問題の対策から始まります。

以前ウチ(モデリングサークルAPC)に居たメンバーの一人が過去にこのキットを
組もうとした際、変形対策として“発砲ウレタンを中に詰め込む”方法をとったそうです。
しかしこれが難しい作業で、量を間違えたかウレタンが固まる過程で膨らみ過ぎ、
ソフビの船体がパンパンに膨れてしまってオシャカになった、というハナシを聞き恐怖しました。
考えたあげく自分が取った方法は“プラ板と金属パイプによる内側の補強”でした。

↓これは胴体中心部のパーツを前から見た画。
1.5mm厚のプラ板をおおよそ弛んできそうな場所に仕切り状に立てて補強。
中にウレタンとかプラキャストを詰め込むワケではないので細かい歪みは仕方なし。
しかし重量が断然軽いので着陸脚へのストレスも少ないのだ。
左右にブチ抜いた太目の真鍮パイプは両エンジンナセルと胴体のタワミを防止する為のもの。

↓外に突き出た真鍮パイプにエンジンナセルを突き刺し、後方から見た画(左写真)。
中でパイプがヨタヨタ動かないような対策をした。
ここは中心に一枚プラ板を立てたのみ。因みに展示会等への輸送を考え、
この真鍮パイプは引き抜いてナセルが分解出来る仕組みとした。
着陸脚がエンジンナセルに付く為、この一直線の保持は必須となる。

↓組立説明書では75gのオモリを船首に入れろとの指示あり。
3本足で立てた時にそのままだと航空機モデルのように絶対ウィリーするのだ(笑)。
後部噴射口辺りに付く大量の部品を思うとつい不安になり、
ここは思い切って100g以上ある鉄棒のブツ切りを入れた。
保持方法としてはプラ板で囲ってしまい、タワミ補強との二役を担う部品を作成。
これを強力な瞬着でガッツリつけてカタカタ動かない状態とした。

↓胴体はざっくりと前、後ろの2部品なのでこれも接合部でのタワミ防止の為
先ほどのツッパリ役のプラ板から5mm角棒を長めに出っ張らせて強力に固定できるようにした。
尚、写真右のパーツ(後部部品)の下から水平に張り出した板は左のパーツ(前部部品)の
断面下辺りに見える長方形の板に当てる形で接合。オモリの位置、重量配分からすると
胴体前後は山形に折れるような荷重がかかるとして、上の角棒は引っ張り、
下の板は圧縮荷重対応となっているのだ。

↓メインパーツを組み立てるとこんな感じ。 …おお、ノストロモ号。
中はあちらこちらプラ板の仕切りだらけなので手で歪めようとしても歪まなくなった。
これでソフビキットの下ごしらえが終了。

↓今から10年くらい前に、劣化して傷んでいた映画のプロップモデルをレストアした
という記事をネット上にて発見。その時の資料写真が大変役に立った。
それまで見たことも無い角度からモデルを撮影した鮮明な写真が大量に入手出来たのだ。
実は作らずじまいで積んであったこのキットを引きずり出す気になったのは、
この写真の数々を見たところによる。
…で、見比べて一番気になった双方の乖離部分はこのテッペンの7角形の中。
これはノストロモ後部の巨大な精製プラント部分との接合部。
トレーラーで云うとコンテナとのジョイント部である。
キットにはこの様な真ん中にタイヤのような円筒が出っ張った形状があるが
プロップ写真では全く違っていた。そこで自作したのが写真右下の部品。
先ずこれをキットの凸を切り飛ばして替わりに配置。

↓更に入手したプロップモデル写真から、出来るだけ詳しく表面の凸凹をディテールアップ。
いいキットではあるものの、流石にソフビのモールドはドンヨリしていてメリハリがない。
こうするとまるでインジェクションキットのようなメリハリが再現できる。
性格的に自分はコレが一番楽しい作業でした(^0^)/。

↓矢印の部分は脱出艇ナルキッソス号の格納庫。
これ実はプロップモデルの写真には無かった。
映画本編に出てくるナルキッソス号の格納庫はどこの部分なのかと自分で推理。
映画を観た人なら憶えている方もいると思うのだけど、船体下部の
大きな“コ”の字の凹の中程にあることから、場所的にココしか考えられないと断定。
とすると左右に一対存在することになる。自分なりの推理ディテールアップなのでした。

↓船首パラボラアンテナ、エンジン噴射口の周囲を囲むように付いた
四角い板、等の部品はABS樹脂製。瞬着ではなく普通の接着剤でディテールアップできる。

↓おおよその部品がみんな付いたので着陸脚で立たせてみる。…お、自然に立ったぞ(^^)。
案の定、後ろのボリュームが凄いのであの鉄棒のオモリは正解だったのな(^^A。
しかしなぁ…全長240メートルの宇宙船がたった3本の脚で着陸なんて結構過激な設定だ。

↓どんどん行きます。
同じくABS樹脂製の部品に竿状の各種アンテナ類がある。
写真矢印の7本はオリジナル部品が太く、なんだかいい加減な形に思えたので
使用せず真鍮線とプラ板で自作。その他、写真手前に伸びた数本の大きいヤツは
オリジナル部品に追加ディテールアップ。

↓これにて全ての部品が付いた形になった。

後編に続く…。
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「プロップモデル萌え」

2013年10月19日 | 製作日記「ノストロモ」

先日自分にとっては久しぶりの大物作品が完成しました。次、なにか作り始めるまではちょっと休憩。
今日も自己満足と反省点を思い返しながらチュウハイを呑む。
あ、全体がわかる写真は「APC作品アーカイブ」に貼りましたのでよければそっちも見てやってください。
…これを作っている時には映画に実際映っていた、つまり“撮影用プロップモデル”の写真をインターネットで
入手し、それをたいそう参考にさせてもらったのです。
やっぱりハリウッド映画のプロップ作る人は凄いですよ、細かな作り込みとか汚れ方の実感出しとか…。
まぁそりゃそーだわな、仕事でやってんだもんね。「そんなトコまで意地んなって作っても画面に
映らへんやん!」とか思ってしまう。
こういう人もそれなりに趣味が爆発して、自己満足と勢いでいっちゃうのかもなー。
ゴチャゴチャしたモールドの中に日本製プラモの部品が目に付くので、反対に思わずそれを捜してしまう。
あー、「スターウォーズ展」2回観にいきました。ミニチュアの微細モールドとか、色剥げ表現とか水垢表現と
か、かなり興奮しましたよ。自分もこんな風に作れたらいいなと…。 衣装とかは結構スルーだったなあf(^^;。

今時の映画は宇宙船とかみんなコンピューターグラフィック(以下“CG”)で作ってあって、
みるみる手の込んだ事もできるようになり、質感や重量感、壊れ方も目を見張るくらいリアルになったけど、
ミニチュア使って作った映像にくらべるとなんか、どこか、何処となく存在感に欠ける映像なのな。
まぁそりゃそーだわな、存在してないんだから(笑)。
CG人間がなんでもこなすんで、スタントマンの職が無くなるように、CGで何でも作れるから
プロップモデラーも食えなくなる。でもなあ、CGしか無いメカってぶっちゃけあんまり模型欲しくならないのな。
撮影用プロップが存在すると萌える。…これってある意味、実際モノがあるとアニメやCGメカに比べて
スケールモデルに近い感覚になってるのかも…。
でももうそれも分からなくなるのかな、そのうち存在感までCGで出来るようになりそうだ。
コメント (2)
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