2013-2014シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2013-2014シーズン
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2013年11月23日(土)3:00-7:30pm オーチャード
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ワーグナー トリスタンとイゾルデ (コンサートスタイル、日本語字幕付き)
Ⅰ 12′+66′
Ⅱ 64′
Ⅲ 67′+6′
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トリスタン、アンドレアス・シャーガー (T)
マルケ王、ミハイル・ペトレンコ (Bs)
イゾルデ、イルムガルト・フィルスマイヤー (S)
クルヴェナール、クリストファー・モールトマン(Br)
メロート、大槻孝志 (T)
ブランゲーネ、エカテリーナ・グバノヴァ (S)
牧人/若い水夫、望月哲也 (T)
舵手、成田博之 (Br)
合唱、新国立劇場合唱団
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ミュン=フン・チュン 指揮
東京フィルハーモニー交響楽団
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シーズン真っ盛りと言う感じです。
混ざりっ気のない演奏会形式ですので、高濃度、高品質のワーグナーを聴くことが出来ました。ミュン・フン・チュンの振るオペラをはじめて観たのはメトでのシモン・ボッカネグラ(1986.3.19)でした。それ以来何度か彼が振るオペラに接しているはずですが、ワーグナーものは初めて観るような気がします。
非常に高濃度で緩みのない演奏。このオペラで国内を転戦したあとの最後の日。素晴らしく引き締まったいい内容でした。上演だとたとえば、イゾルデによる愛の死の絶唱は、直前からの流れがやや短絡的と感じるのですが、そのような性急感もなくきっちりまとめあげた。演奏会形式のメリットを最大限発揮できた内容でした。
この11月クラシック演奏会まっただ中にあって出色の出来だったと思います。(11月は他のオケ、団体などみんな出色!)
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歌はイゾルデのフィルスマイヤーが圧倒的。日本人とは体格も歌も異なります。ものすごい音量で、若くて怖いもの知らずの猪突猛進型、フレーズを切ってどんどん先に進めていく、劇的な歌で「ジークフリート」でのブリュンヒルデあたりがちょうどいいかと。来年ライプツィヒでエレクトラ・デビューするそうです。
息が切れたらどうなるのだろうという心配は際どさのスリルへと変わる。息切れしません、あんな全力投球型イゾルデ、見たことありませんね。トリスタンを押し倒す圧倒的女性上位。イゾルデとトリスタン、タイトルはこのように変えた方がいいかもしれません。全体雰囲気が彼女の歌で形作られてしまった!
男性陣は洗練されていて落ち着きがあり格調が高い、言葉を換えると線が細い。イゾルデを前にじたばたしても無駄とその気配で感じ取ったのかもしれません。
逆にイゾルデがういているともとらえられるわけで、彼女を別にすれば概ねバランスのとれた高レベルのソリストたち。
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オーケストラは第1幕後半が特に輝いていてよかった。このオーケストラはブラスまでオペラの歌心を自分のものとしていて気持ちよく流れる。
ミュン・フン・チュンはあまり極端な劇的棒は取らないが、オペラ特有のチリチリしていくような音楽の焦がし、じりじりと迫る。だから気がつくと第1幕のブラスのエンディングなど、はっとするような猛速になっていたりする。この流れが第2幕の冒頭を形作る。息の長い音楽というのはこのような場合にもあてはまると納得。オペラのツボを心得ている。
夜の第2幕は演奏会形式では雰囲気が出ませんが、ずぶずぶにならず停滞することなく進んでいき、ワルキューレ式、パルジファル式の第2幕エンディングまで緊張感を保っておりました。
第3幕のイゾルデ、マルケ王、到着までの時間の長さ、これも演奏会形式特有の雰囲気で、結構長く感じる。舞台ならそのあと一気にバタバタするのですが、演奏会形式では人の動きが無く落ち着いて楽しめる。指揮者のまとめあげも大したもんです。
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充実した内容でした。ありがとうございました。
おわり
僕もこれと北とぴあのフィガロを目当てに、
東京まで行って参りました。河童メソッドさんも
来ておられたとは知らず、失礼致しました。
来年三月には是非お声掛け下さいませ。
ご無沙汰しております。
わりと行き当たりばったりなもので(笑)。
来年の3月はびわ湖のことですね。是非うかがいたいと思います。