2007年4月12日(木)の日経新聞朝刊をみていたら、一番裏の文化欄に、昔の初代総支配人
という人がサントリーホール初期のことを書いていた。
自画自賛の文。
タイトルは、
楽しんでこそ音楽ホール
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佐治さんにご指名されて10年間の海外生活を終え総支配人になった人らしい。
オープンするにあたり、切符切りはどうしようか、クロークはどうしようか、案内係はどうしようか。
日本のホールをみてると愛想はないし、終わると追い立てるように帰す。(たぶん上野の文化会館のこと)
こんなんじゃだめだ。西欧ではチケットテーカー(切符切り)、クローク、案内係などそれぞれ作業分担が進んでいる。これは真似しなきゃだめだ。真似延長のレセプショニストを置いて兼務させよう。
日本では休憩時間にアルコールが飲めない。これは西欧の真似をして飲めるようにバーカウンターを設置したほうがよい。
それも実現した。今ではどこのホールでも酒が飲める。どうだ、すごいだろう。
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バキャ
(河童語で驚きの擬声音)
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10年間西洋かぶれして帰国した人が、西欧のコンサートホールの雰囲気を日本に作っただけ。ただの真似。
真似は日本人の特質だからそこまではいい。
自慢することなど何一つない。
お客の勘違いで、NHKホールの第九のチケットで入場しようとしたのを、
今の時間ならタクシーで渋谷までまにあいますよ、
といってあげた。このようなサービスもした。
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バキャバキャ
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こんなの普通じゃん。
なにを自慢したいの、この人。
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日本のチケット相場のつり上げをしたのは君らではないのかね。
今では、サントリーホール基準のような感じで、みんな割高になってしまった。
400円のまずいコーヒーを飲みながら、客の錯覚をそれが正気だと洗脳させたのではないのかね。
音響も自慢できると思っているのかね。
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もっとほかに書くべきことがあるはずだ。
こんなとき世間の厳しい競争のなかにいる仕事人プロジェクトリーダーなら、月並みだが、こう言うだろう。
もっと問題意識をもって取り組まなきゃだめじゃないか。って。
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まぁ、クラシック音楽自体が真似なんだからしょうがないといえばしょうがない。が、
日本人は真似は得意だが、もうひとつ素晴らしい特質がある。
それは、強いもの、素晴らしいもの、美しいもの、に、素直に敬意を払うということ。
この記事を書いている人は、そこらへん、意識の混濁があるというか、ちょっと混同気味。
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それはそれとして、
おごれるものもひさしからず。
アークヒルズの火は消え、
ヒルズの火もさみしくなり、
それぞれ賞味期限はあるものの、
とりあえず今は、
新たなミッドタウンをめざす。
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サントリーホールは交通の便があまり良くないので、
中心地に存在しているということだけがメリットになってしまった。
交通手段では上野の東京文化会館にかなう敵はなし。
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自慢話をしてる暇があるなら、迫る危機に備えなければならない。
備えあれば憂いなし、というではないか。
のんびりと昔話の真似自慢なんか。
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日経新聞は他にも、会社人として成功した人物の自慢話を取り上げすぎ。
当事者は気持ちいいだろうと思う。
いいことだけしゃべってればいいんだから。
でも、それ読んでも何の意味もない。
朝っぱらから、自分の入れ歯が浮くような記事を本人たちが見て、自画自賛する様子は、今風ではないなぁ。
インタビューする側の人間も、その恩恵を受けていると思っているんじゃないか。
いいかげん年寄り向けの記事は卒業してよ。
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ということで、個人的にはコンサートホールのバーカウンターでの酒盛りは好きではない。
この元総支配人は、西欧の、休憩時間は酒飲んで優雅に、みたいなことをいっているが、それは分析が足りない。
バーカウンターはしっかりと動かず、すっとそこにあるから存在感があるものの、アルコールを飲んでいる人は見てると実はそんなに多くはない。水揚げ公表してよ。空瓶の本数でもいいから。
いずれにしても、酒臭いおやじが隣で寝てるところで音楽あんまり聴きたくないなぁ。
これは日本独自の音楽休憩時間のお茶タイムの文化を壊した悪しき例である。
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下の写真は、同じ新聞記事にあるもので、アイザック・スターンのおでこメガネの真似をする佐治さんと元支配人さん。
真似恥の上塗りだなぁ。この写真。
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おわり