2015年2月21日(土) 3:00pm サントリー
ドビュッシー 牧神の午後への前奏曲 11′
サン=サーンス ヴァイオリン協奏曲第3番 9′7′10′
ヴァイオリン、ルノー・カプソン
(encore)
グルック メロディ 4′
Int
ムソルグスキー(ラヴェル編曲) 展覧会の絵 32′
(encore)
ビゼー 「カルメン」第3幕への間奏曲 3′
ビゼー 「カルメン」第1幕への前奏曲 2′
トゥガン・ソヒエフ 指揮 トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団
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フランスとロシアが混ざったようなプログラム。
前半フランスプロ、後半ロシアプロ、オケと指揮者双方の意思を尊重し合った結果のプログラムビルディングか。ルーチンワーク的な雰囲気もありますね。
ソヒエフは前、N響定期を振っていてその時は軽い棒にあまり感心しなかったのですけれど、今回は随分と違いました。手兵オケには意思の浸透が普段からある、ということで、ソヒエフの明確な棒テクニックのもと、殊の外、ハイレベルなサウンドが奏でられた。
最初のドビュッシーとアンコールのカルメン、フルートのプリンシパルを際立たせたようなフレーム感覚は故意なのかもしれません。良かったと思います。
オーケストラサウンドは明るくて少し硬め、ざらっとした感触は無くハイスキルレベルのオケであることをうかがわせるが、たまにアンサンブルや音の塊にすき間があるようなところもある。
サン=サーンスのコンチェルトは低音域系の曲なのか、随分と下の方で奏でられ、幅が広く感じられ大きく響いてくる。あまり聴くことのない曲なので出てきたものを楽しむ感じで。
アンコールは一転、高音域のピースで、コンチェルトとの対比が際立っていますね。面白い曲の連続で楽しみました。
後半の展覧会の絵はソヒエフの棒が見事。ヘビー級の曲にせず、比較的サラッと、というかラフにならないように気配りがありそうだ。重心が一つ浮いたような展覧会でした。
ときおり、ブラスの咆哮のあたりで、オタマを1個ずつ克明に振るようなところがあり、ロシアの血が騒ぐのかもしれない。
総じてパワフルに鳴らすのではなく、丁寧さをひとつ前に出したようなスタイルの演奏でした。
このオーケストラレベルはチケット同価格帯の来日オケと比べるとワンランク上だと思います。CDで聴く明るいがモヤモヤと音が束になってき終えるようなところは無く高い分解度。
当夜はカメラ5台、収録マイクが乱立。そのうち何かでやるのかもしれませねんね。日本の悪しき慣習プログラムパンフが1500円というのは収録放映代に何某か転嫁されているのではないかと勘繰りたくもなる。
そのプログラムを読んでみると、トゥールーズはフランス第4の都市、トゥールーズ管は、オペラ劇場で年間10演目、コンサートホールで24回の定期公演。と書いてあります。
これが事実なら、アメリカオケとは比べ物にならないぐらい少ないだけでなく日本のオーケストラと比べても少なすぎる。
と感じるが、たぶん、オペラ10演目といっても1演目5回やったとして50回、定期24回と言っても1定期2回やったとして、48回。双方合わせて100回ぐらいはこなしているんでしょうね。
それから、キャピトル国立管という日本語は誤り訳だと思います。キャピトルは固有名詞でなないですし。他例で、エンシェント室内管というのも変で、こちらは形容詞の固有名詞化で、どちらも同じ類の誤りかと思います。
おわり