河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1250- ガヴリリュク プロコフィエフ、アシュケナージ シベリウス、N響2011.6.4

2011-06-05 14:51:17 | インポート

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2010-2011シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから。
2010-2011シーズン
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2011年6月4日(土)3:00pm
NHKホール
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プロコフィエフ 3つのオレンジへの恋、組曲
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プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番
 ピアノ、アレクサンダー・ガヴリリュク
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(アンコール)
スクリャービン 3つの小品から、練習曲 op2-1
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シベリウス 大洋の女神
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シベリウス 交響曲第7番
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ウラディミール・アシュケナージ指揮
NHK交響楽団
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今日の御目当はプロコフィエフの2番とシベリウスの7番。流れとしてはいいプログラム・ビルディング。
シベリウスの7番にはムラヴィンスキー異形の絶演があるのでつい比べてしまいたくなります。それはちょっと横に置いて。
アシュケナージの棒による7番は非常に柔らかい。ふっくらとしていていつくしむようでもある。そしてN響の透明な弦が美しい。分散していくハーモニー、対旋律のあや模様。素晴らしく美しい音の響き。そしてティンパニの強打は一見すると違和感があるかもしれないがこの曲にはきっちり締めるべきポイントがあり、そこを見逃さないアシュケナージの見事な棒。ブラスが咆哮するとき、他のインストゥルメントはもう少し静かにするべきだとムラヴィンスキーは言うかもしれない。ここは分かれるところかもしれない。超ハイスキル集団であったレニングラード・フィルとの違いなのかもしれない。そのオーケストラはムラヴィンスキー自身が作り上げたのだけれども。
弦の分散和音の美しさのままをブラスにも同様に求めたアシュケナージの解釈。幅と線、両方をおしなべて表現できている。分厚くて透徹していて柔軟ないい演奏でした。
ホルンの音色が一様でないところが残念。
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レニングラード・フィルとの違いは、有限性と無限性の違い。当時のレニングラードのオーケストラとしての能力は、ほかのオーケストラのあらゆる表現を包括していたように聴こえてきたというあたり。このブログの後でムラヴィンスキーのシベリウス第7番を再々掲しますので。
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後半の一曲目に置いたのは駄作とでもいうべき曲で、描写音楽として海のうねりだけ表現した曲です」と言われればそうかもしれないが、それにしてもなにもないというか、この曲の美点は何をポイントに耳を凝らせばいいのかわからない。
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白眉は前半2曲目のプロコフィエフの第2番のピアノ協奏曲。聴き終わったあとで爆な曲だとわかるのだが、同じような雰囲気は第3番なんかでもある。
とにかくこの2番、いきなりいつのまにかわけのわからないカデンツァに突入していく。一体、プロコフィエフの表現したいもの、それがなんだったのか、そうゆう観点にいきなり有無を言わせず引きずり込まさせられるから不思議な吸引力。
第4楽章の第2主題というか中間部というか、ここでようやくなにかロシア風なメロディーがようやくでてくる。ここまできてしまったらこのようなある種民謡の引用みたいなものは必要ないのではないかと思うのだがそれでもこの段階に来て歌いたくなるという事実。第1主題との融合は聴きごたえがあることはある。
ブラスできっちりエンディングを一度作り終えたあと、またカデンツァとなる。Cプロの自席はピアノの手が比較的みえる位置で、細い体から非常に柔らかいタッチで右左動き回っているのがよくわかる。とんでもない難曲なんだろうなぁ。フレーズの切り替えとか、切れ味、よく弾きこまれていると思うし見事としかいいようがない。そして叩きつけるブラスの響き、ほとんどやけくそのような響きなんだがこれが効果てきめんで、この爆な曲を閉じるにはこれ以上ふさわしい盛り上がりはないような気もする。爆な曲には爆な演奏で。
アシュケナージは、このガヴリリュクのピアノに聴きいっている。お気に入りのピアニストのようだ。かつてはご本人にもこのような時代があったわけだ。
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1958.11.29BC
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第2番
ピアノ、ウラディミール・アシュケナージ
レナード・バーンスタイン指揮
ニューヨーク・フィル
(NYP自主制作盤)
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それで、このガヴリリュクさん、1984年生まれなんですね。二十六七ですねまだ。風貌は既に40歳代後半と言われても違和感はないけれど、聴いた後プログラム解説を見てびっくりしてしまいました。演奏会紹介部分は後で読む、これ正解ですね。
ガヴリリュクのピアノは繊細と大胆さ両方の表現をまるで生まれつき備えていた、そのような感じでした。響きの切れ味がよくこの難曲の輪郭を非常に見通し良くさせてくれました。
ガヴリリュクより約40歳上のニコライ・ペトロフが同曲を、1999年にスヴェトラーノフの棒、同じN響の伴奏で弾いたことがありますね。あのときも爆。あの流れ。
それから、ペトロフより一回り若いブロンフマンが弾いた時の3番、これもすごかった。アンコールがもっとすごかったけれど。
2007.11.14公演。ゲルギエフ&マリインスキー
このようなロシア・ピアニストの系譜。素晴らしいですね。
おわり
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