昔のアナログ・ディスク時代からCD時代まで、日本のタスキは独特の文化だ。
タスキがあるとないでは中古品の値段も違うらしい。
ある著名な指揮者の音源をヤフオクで処分してしまったあとで、奥の奥からタスキを大量に発見した。後の祭りですね。
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それにしても大げさなキャッチ・コピー。
「巨匠ブロムシュテット、ゲヴァントハウス管退任コンサート・ライヴ」
続きは写真をみてください。
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このキャッチ・コピー。あってもなくても買う人は買うし、買わない人は買わない。
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文章の真偽はともかく、まず中身に耳をかたむけなければならない。
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ブルックナー作曲
交響曲第8番(ハース版)
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ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
ライプツィッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
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2005年7月1,2日 コンサート・ライヴ
SACDハイブリッド 2枚組
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結果から言うと、買う人は買う。買ってよかったと思う、と思う。
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SACDの明瞭さは過去のCDを色あせさせる。
ライヴ冒頭で指揮者がポーディアウムにむかうまでのクリアな拍手サウンド。
冒頭拍手の収録がいいかどうかは別にして、一聴して、さすがSACD、と納得できる明晰さだ。
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内容についてはやっぱり買って聴いてのお楽しみ。
ただ、タスキのキャッチ・コピーとはずいぶんと印象が異なるので一言だけ。
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サウンド的には音場の横の幅、奥行き感、がとてもいい。
昔のゲヴァントハウスのイメージはなく、現代的な磨きのかかったオケ音色でブラッシュアップした機能的なものを感じる。
逆に言うと、文化の平板化の方向に向かわざるをえない時代の流れも感じる。
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指揮者によりかなり整備された響きのなか、第2楽章スケルツォにみるポルタメントの強調。トリオの意識されたアクセントの歯切れ良さ。など独特な感性を感じる部分もある。
また、第3楽章の深い響きは印象的。
さらに第4楽章コーダでは、コーダはどこから始まるのか、といった議論があるなか、ブラスの突然の嵐による第1楽章第一主題再現吹奏では、なにか感情が先走ったエキサイティングなところもある。
最後の3打撃音の三つ目はひたすら長く尾をひく。その長さに比例したような空白の後の拍手が自然。
両者ともどもどのような歴史があったのか知る由もないが、いまさらながら離れがたかったのではなかったか、と思わせる別れのつらさを感じさせる。
全体の印象としては、久しぶりにブル8を大曲と感じさせてくれる演奏。
おわり
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