2019年8月6日(火) 7pm ヤマハホール、銀座
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110 8-2-10
シューマン 謝肉祭 「4つの音符による面白い情景」 Op.9 25
Int
チャイコフスキー 18の小品 Op.72 より 44
1.即興曲
2.子守唄
4.性格的舞曲
6.踊りのためのマズルカ
7.演奏会用ポロネーズ
8.対話
12.いたずらっ子
13.田舎のエコー
14.悲しい歌
16.5拍子のワルツ
17.遠い昔
18.踊りの情景、トレパークへの誘い
(encore)
チャイコフスキー 18の小品 Op.72 より 11.ヴァルス・ブルエッテ 2
ピアノ、松田華音
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なんだか頼もしいというか心強いというか度胸がすわっているというか、実績凄そう。ツワモノな雰囲気濃厚ですね。惹きつけられる。
ベトソナでは31番が今のところお気に入りナンバーワンの曲。これまで聴いてきた31番とは随分と異次元のフレーバーテイスト。スタティックで不思議な静止衛星のようなユニークな演奏でした。何かディスカバリー。終楽章の2回にわたる嘆きの歌に殊更にフォーカスしているわけではなくて、それはこちらが思っているものと焦点が少し異なっているというだけの話で、全ての事に均等に配慮されたプレイ。等速の歩みということなのかもしれない。さてどうやってフィニッシュにもっていくのだベートーヴェン、エンディングのまとめ上げた歌い口がグワシと効いたお見事プレイ。印象深い演奏。32番も彼女のピアノで聴きたくなりました。
次のシューマンはもっと溌溂としていて意思が強靭、強さの中に表情がある。シューマンの情景、それよりも情がジワッと出たもので、ベートーヴェンとの対比が印象的。
今日の彼女のメインディッシュはチャイコフスキー、18個の小品のうち12個ピックアップ。この45分にわたる絵巻物、得意物件なのでしょうね。素晴らしい内容に舌鼓。満喫しました。
なによりも各ピースについている副題。これを眺めつつ聴くだけで表情がピッタリと重なってくる。伸縮自在なプレイと感じたのは、ひとつの小品の中での表情、それと全体を聴き終えた後の小品毎の異なる味付け、表情。それらが凄く副題に沿ったイメージで、聴かせてくれたなという、それでいて一つの大きなまとまりとなっていたな、という見事なコンクルージョン聴後感。大きな感動の圧力に襲われました。ビューティフル、お見事プレイ
ありがとうございました。
おわり