2013-2014シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2013-2014シーズン
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2013年10月18日(金)7:00pm サントリー
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チャイコフスキー 眠れる森の美女、組曲
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武満徹 ウォーター・ドリーミング
フルート、真鍋恵子
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スクリャービン 交響曲第3番 神聖な詩 47′
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アレクサンドル・ラザレフ 指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
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スクリャービンの3番を久々に聴くことができると言うので期待に胸を膨らませて出かけました。
一曲目のチャイコフスキーで、ドンドンドンと結構地鳴り風に響いたりして、これは期待が持てると感じたのです。
結果的には、そう悪くもなかった、といったところ。
ラザレフが左手の掌を一生懸命前に出し、もっと音を出せと始終要求している。ブラスはそれなりに出てくるのだが、弦は出ない。薄い。彼がイメージしているであろうロシアのサウンドを引き出せない。このもどかしさ。
この曲は、束で迫るマス系方針とブラスを抑制させ全体の響きのバランスで迫る響き系があると思うのですが、ラザレルの方針は明らかなマス系、でも、空振り、ではなく肩透かしとか空回り。そんな感じでした。要求が満たされていなかったと思います。これは、技術的にへたとかうまいとかいった話でもないと思うのですが、音圧増減幅の大きさの表現も技術のうち、とするならば、今ひとつ足りないものがあるということです。弦の薄さは如何ともしがたい。ブラス掻き分け弦が鳴るのではなく、同音量で鳴ることによりベクトルが、1+1=3みたいな世界になっていく。そうならない。
これでは常日頃の普通の曲の演奏とあまり変わらない。というか、曲を理解して演奏しているのか少し疑問に感じたところもありました。第2部後半~第3部前半あたり、もしかしてプレイヤーもパートによっては、よくわからなかったのではないか。楽譜は前に有るので弾けると思いますが。
この曲は、リストのファウスト交響曲の、あの、主題がなんだか一つしかないような、始終同じ節が鳴っているようなあんな感じの曲なんですね、変奏曲と言うか。
ですからヴァリエーションの愉しみはアンサンブルしているプレイヤーのほうがより感じることができると思います。弦の薄さは強く弾かない(弾けない)日本の文化的背景があるような気がします。ウィスキーのロウカスクも上澄みより全部飲み込みたい。そんな欲望を満たしてくれていない。上澄みだけでいいじゃないか、という感じの弾きっぷり。
ラザレフはこの曲の演奏解釈をオーケストラに移植したが、必ずしも満足できる結果とはならなかった。オーケストラ側の消化不足と言うより曲への理解度が今ひとつであった。
ただ、音として目の前で鳴ってくれたのを聴いたので、それなりに満足はしています。
→スクリャービン 交響曲第3番 河童ライブラリー(2013.10.15リニューアル)
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武満の曲は理解も出来なければ、皮ふ感覚的なフィーリングも感じない。生演奏ではショートピースが結構演奏されますが、決まってプログラム前半にちょこっと置かれるだけ。
おわり