ニューヨーク・フィルハーモニックにとって、マーラーからワルターまでどのくらい時間的距離があったかというと。
.
第8代常任マーラーからかぞえてみると。
グスタフ・マーラー(1909-1911)
ジョゼフ・ストランスキー(1911-1923)
ウィレム・メンゲルベルク(1922-1930)
アルトゥーロ・トスカニーニ(1928-1936)
ジョン・バルビローリ(1936-1941)
アルトゥール・ロジンスキー(1943-1947)
ブルーノ・ワルター(1947-1949)
.
マーラーが死をもって常任を終わってから、36年後に常任になっている。
2シーズンという短い期間だが、その前後に頻繁にメト、フィルハーモニックを振っているわけだから、この期間というのはあまり重要でないような気もする。
マーラーの曲の人気が出てきたのは、本人が常任の頃ではなく、こうやってみるとやはり、メンゲルベルクの力によるところが大きい。
.
録音はストランスキーのものはあるが、マーラーが振ったフィルハーモニックの音というのは現存しない。聴くにはタイム・トラベルをするしかない。
メンゲルベルクやトスカニーニものは録音がわりとあるが、特に後者はNBCの録音のインパクトが強烈であり、比べるようなしろものではない。
バルビローリは、あるにはあるが特色があるわけではなく、放送のルーチンワーク。これはこれでよいかもしれないが。
ロジンスキーの録音は、第2次世界大戦終結前後のものが、昔AS Discからでていた。オーケストラ、演奏家のレベルはかなり落ちるが、続けていたことに意味があり、さらに定期的な放送があったことが素晴らしい。
ワルターの録音は、みんなで語りつくしている。
.
ニューヨーク・フィルハーモニックとの惜別は。
1960年4月24日
カーネギー・ホール
.
シューベルト/未完成
マーラー/大地の歌
アルト、モーリン・フォレスター
テノール、リチャード・ルイス
.
ブルーノ・ワルター指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
.
ワルターの解釈で聴く未完成と大地の歌は、表現がこなれており、身も心も音の振動にゆだねることができる。
.