メトロポリタンオペラ総裁ピーター・ゲルブの講演を、昭和音楽大学で聞いた後、その足で初台の新国立劇場にファルスタッフを観るために向かった。
今回のファルスタッフの日取りは6/13、16、19、21の4回公演。
そのうちの初日を観たが、公演自体がまだ終わっていないので、これから観に行く人は、このブログはすっとばしてください。
2007年6月13日(水) 6:30pm 新国立劇場
ヴェルディ 作曲 ファルスタッフ
ジョナサン・ミラー プロダクション
ファルスタッフ/アラン・タイタス
フォード/ヴォルフガンク・ブレンデル
フェントン/樋口達哉
カイウス/大野光彦
バルドルフォ/大槻孝志
ピストーラ/妻屋秀和
アリーチェ/セレーナ・ファルノッキア
ナンネッタ/中村恵理
クイックリー夫人/カラン・アームストロング
メグ/大林智子
ダン・エッティンガー 指揮 東京フィル、新国立劇場合唱部
前の席で観たため、視界良好ではあったが、字幕の位置が高いためかなり見づらい。
新国立劇場の字幕装置というのは、おそらく仮設ではなく、当初からの装備であると思うのだが、一階席後方、もしくは2階席あたりがちょうど目の高さだ。また、装置の光具合が鋭いため、3階4階席でも非常に鮮明でありクリアで良好。
結局1階前方が最悪。
ただし音はすごい。
オケピットの中にいるようなとんでもないデカイ音が耳に飛び込んでくる。
それもこれも、このホールそのもののキャパのせいというか、おかげである。
オペラ劇場としては少しサイズが小型なのである。
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第1幕と第2幕の間に休憩はなし。4場まとめてやる。
ミラーの演出のせいか、4場とも同じような雰囲気であり場面転換もこの方がイージー。
観てる方としては、ちょっと長すぎて疲れる。
休憩後の第3幕は第2場が森の中、それまでとずいぶんと雰囲気が異なり違和感がなくもない。第2場の作りこみのため、幕をさげ、開くまで結構時間がかかってしまう。
スムースさがこの種のオペラでは大事だ。
ヴェルディ最後のオペラの最後の大フィナーレ、この世はすべて冗談、というけれど、河童には、第1幕冒頭のいきなりの爆発音が全てを笑い飛ばしているように聴こえる。最初から冗談だったのさ。
キャストは文句の付けようがない。
タイタス、ブレンデルともに初日から声がよく出ていた。
タイタスのタイトルロールは、音楽のフレーズを完全に掌握した動きが聴衆の笑いを誘う。
二人とも喉が強靭であり張りのある声でホールをならすだけではなく、ピアニシモの細やかなニュアンスもそれなりにでていた。
時々以上にプロンプターの腕が出すぎ見え過ぎで気持ち悪くなったりもしたが、とりあえずみんな張り切り度100パーセントで、目に見える頑張りであった。
女性陣もおしなべてよく、また国内組もよく通る声で、動きも不自然さがなく、演出をうまくこなしていた。
ミラーの演出は、見方によってはHさを前面にだした演出であり、聴衆としては苦笑い的な箇所が散見された。
また、動きを比較的強調している。歌い手をおあちらこちらに素早く動かす。息が切れるほどではないとしても、やってる方も大変だろう。
ジョナサン・ミラーは来日しており、カーテンコールに大柄の体躯で出てきた。
エッティンガーの棒は、多少ほこりっぽいながら、細やかさに走るよりも一気に鳴らす感じ。
豪放な作りではないが、息の長いそれでいてダイナミズムのある生きた音楽。
写真紹介ではメガネをしていたが、ステージのカーテンコールにあらわれた姿はノーグラス。
立ち振る舞いがどことなくバレンボイムに似ているなぁ、などと思って800円のプログラムの紹介欄を読んでみたら、2003-2004シーズンからベルリン州立歌劇場首席指揮者兼音楽監督助手、ということだから、当然かもしれない。
音楽の雰囲気は、ファルスタッフはわかったもののほかは聴いていないのでわからない。これからが楽しみ。
おわり